『嫌われた監督 落合博満は中日をどう変えたのか』で、大宅壮一ノンフィクション賞、新潮ドキュメント賞、講談社 本田靖春ノンフィクション賞を受賞した鈴木忠平さんによる連載、「No time for doubt 大谷翔平と2016年のファイターズ」が10月号で最終回を迎えました。
勝利のみを追求することで「嫌われた」のが落合博満ならば、誰にも「嫌われない」のが大谷翔平です。北海道日本ハムファイターズの関係者だけでなく、ある意味、敵をも魅了してしまう才能が迸り、二刀流で日本一を達成した「2016年」という1年を、鈴木さんが丹念な取材をもとに描ききりました。

ただ、「編集部日記」を書いている私は、この夏に異動してきたばかりで、最後の2回を担当しただけ。取材に同行していません……。ということで、現在は別の編集部に所属している、前担当者の柳原に取材の裏話を聞いてきました。
――この連載は、2016年のファイターズ日本一に携わった関係者の証言がベースになっています。取材で印象に残っているエピソードを聞かせてください。
「思い出深いのは、増井浩俊さんですね。2016年にクローザーから転向して10勝を挙げた、優勝の立役者で、第4回『今と未来と』では主人公として登場します。増井さんは2022年シーズンを最後に現役を引退されたのですが、実は取材を申し込むにあたって、居所も連絡先もまったく分からなかったんです。鈴木さんもあちこち当たってくれたのですが、なぜか誰もわからない(苦笑)。正直、あきらめかけたのですが、幸運にも増井さんが最後にプレーしたオリックス・バファローズの関係者が連絡先を知っていたんです。現在、増井さんは、野球とはまったく関係ない仕事に就かれていて、熱海にお住まいでした。早速連絡をとってみると、取材をご快諾いただけてよかったです」
――それはヒヤヒヤしますね。実際に会われてどうでした?
「めちゃくちゃいい方でした(笑)。インタビューでとても心に残っているのが、増井さんがクローザーという役目に物凄くプライドを持っていたことです。実は翌年の2017年にも栗山英樹監督から先発を打診されたのですが、それも断ったほど。先発に転向して10勝をあげたのに、です。今は野球の世界から離れていますが、その職人的なプライドが言葉の端々に感じられて、すごく格好よかったですね」
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