健康診断の結果という“数字の羅列”を、身体を読み解くコンパスに変える――。月刊「文藝春秋」への寄稿「健康診断は宝の地図だ」(2024年8月号)が話題を呼んだ総合診療医・伊藤大介氏が、健康診断の活用術、健診結果の効果的な見方を徹底解説します。
■連載「健康診断は宝の地図だ」
・第10回 むやみに受けても効果を得にくい…オススメできない「4つのオプション検査」
・第11回 高血圧、血糖値…「基準値に縛られなくてもいい」と言う医者は信用できるか?
・第12回 【結論】「基準値」は画一的に語れない。医師と一緒に“オーダーメイド”せよ!
・第13回 日本の健康診断は本当に「レベルが高い」のか? 欧米は未整備、韓国は一歩先に……
・第14回 今回はこちら
最終回となった今回は、技術面で今後、健康診断はどのような進化を遂げるのかについて考えます。

今まさに、オプション検査の分野では、AIや遺伝子、バイオマーカー、ビッグデータを活用した最新鋭の検査技術が続々と開発されています。「病気になってから対処する医療」から「病気になる前に発見して未然に防ぐ医療」、まさに「未病」をスクリーニングする理想的な段階にシフトしつつあるのです。
その中でも、とくに信頼性が高いと思われる検査技術をいくつか紹介しましょう。
■新しい健康診断その①:ビッグデータ×AIによる疾患リスク予測

最初に紹介するのが、個人の健康診断のデータと、数万人規模の人々から集めた医療情報(ビッグデータ)をAIで解析し、将来の病気のリスクを予測する技術です。
例えば、東芝が開発した「疾病リスク予測AIサービス」もその一つです。
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