寺島　今回対談にあたって、田中さんは私にとって、どんな人だろうと改めて考えたんですよ。

　田中　フフフ、憧れの女性ってわけではないですよね（笑）。

　寺島　実は、私が1年生だった1967年の1年だけ、同時期に早稲田大学のキャンパスに通っていたんですよね。当時は日本でもベトナム反戦運動が盛り上がっていて、ベ平連や小田実が早稲田の学生に接近していた。でも、当時の田中さんは、政治というよりは演劇に打ち込まれていた。

　田中　暇つぶしですね。俳優の村野武範さんとか、あのペラペラしゃべる久米宏さんが同じ「劇団こだま（現・木霊）」の仲間。あんな賑やかな人たちと、一緒にやりたい放題だったんです。

　寺島　女優になろうと思っていたんですか？

　田中　このご面相でまさか（笑）。反戦運動の話でいうと、早稲田に入る前、アメリカの高校を卒業しているので、現地でベトナム反戦運動を体験しました。当時のアメリカはあこがれの存在でした。経済的にも民主主義という意味でも世界を牽引していました。

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