W杯への出発点「あの時、森保だけが立っていた」

二宮 寿朗 スポーツライター

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すべては33年前からはじまった

「あらためてオランダの方々に感謝を申し上げたいと思っています。私自身日本代表になったとき、当時まだプロはない時代でしたけど、ハンス・オフトさんというオランダ人のコーチに育てていただいた。私だけでなく日本人指導者が大きな影響を受けて今の日本サッカーの発展につながっています」

 米国のダラスで行われた北中米W杯のグループステージ初戦。日本代表は“格上”のオランダに二度リードされながらも追いつき、引き分けに持ち込んだ。監督の森保一は試合後の会見を、オフトやサンフレッチェ広島時代に指導を受けたビム・ヤンセンといったオランダ人指揮官への謝意で締めくくった。

 米国でW杯が開催されるのは1994年以来32年ぶり。そして、日本サッカーの大きな分岐点となったのが、このW杯への出場権をすんでのところで逃がしたアジア最終予選のイラク戦、いわゆる“ドーハの悲劇”である。

 森保は、オフト率いる日本代表の主力として、あの死闘にフル出場した。あとワンプレーを守り切れば、今回と同じ米国のピッチで、日本初のW杯を戦うはずだった。

 その後、彼は代表を率いる立場になり、4年前、選手として自らが立てなかったW杯に監督として挑んだ。そして今回は、かつて届かなかった米国まで日本を連れてきた。

 “悲劇”は森保にとって、ひいては日本サッカーにとっても、W杯へ向かう出発点だった。

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source : 文藝春秋 2026年8月号

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