世界に誇る日本製スーツ MADE IN JAPAN

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欧米の紳士たちの装いや、彼らが着こなす美しいスーツを目指し独自の進化を続けた日本製スーツは、今や品質・デザインともに世界の最高峰に達しつつある。今回は新しい紳士服の時代を拓く、8つのファクトリーが産み出す名品をご紹介しよう。

BEAMS F(ビームスF)/東和プラム製

1977年にイタリアからモデリストを招聘し、6年にわたり指導を受けた岩手県花巻市のファクトリー「東和プラム」。その緻密な縫製技術による着心地のよさと、ビームスFのこだわりとが融合したスーツは、構造もシルエットもシーズンごとに微調整を繰り返し、今やイタリア人も唸る完成度だ。カルロ・バルベラ社の上等なウールモヘアを使った今季のスーツは、価格を遥かに超えた価値で業界人を驚かせた一着。胸周りのボリューム感や、なだらかな肩の“落ち感”、無駄のないスッキリしたシルエットは、巷のオーダースーツを凌駕するほどに美しい。スーツ¥154,000、シャツ¥30,800/ともにビームスF、タイ¥22,000/フランコ バッシ(以上ビームスF☎03-3470-3946)、チーフはスタイリスト私物

欧米から学び、開花した日本製スーツの実力

RING JACKET(リングヂャケット)

1954年に創業した、大阪府貝塚市のファクトリー「リングヂャケット」。1990年代以降イタリアのサルトリア(仕立て屋)の技術を学び急成長を遂げたこちらは、今や世界中のエグゼクティブに愛されるトップブランドだ。肩パッドを省き、職人の手作業によるアイロンや“いせ込み”と呼ばれる縫製工程を多用した立体的なスーツは、「まるで1枚の生地を羽織っているよう」と評されるほど快適かつエレガント。英国調のしっかりした生地を採用しても、着心地は驚くほどに軽快! スーツ¥275,000/リングヂャケット マイスター、シャツ¥60,500/リングヂャケット ナポリ、タイ¥35,200/タイ ユア タイ(以上リングヂャケット マイスター 206 青山店☎03-6418-7855)、チーフはスタイリスト私物

日本のスーツづくりを、次世代に

 高度経済成長期に躍進を遂げ、バブル期に全盛期を迎えた日本の工場における紳士服づくり。バブル崩壊とともに危機を迎えるも、いくつかの志の高い工場は本場イタリアから技術を学び取り、品質を高めることでさらなる成長を続けていく。そんな歴史を経て成熟した日本の工場と、欧米各国におけるものづくり文化の衰退が重なったのが2010年代。この頃から、精密な縫製と欧米的なセンスを兼ね備えた日本製のスーツは、海外のビジネスマンたちからの評価を高めていく。この潮流を象徴するのが大阪府の「リングヂャケット」で、2010年頃から海外輸出を加速させ、今や16カ国46店舗ものショップに製品を卸すほどの人気ぶり。その影響もあり、ここで紹介しているような日本の実力派工場は、かつてない活況を呈している。ただし職人の高齢化や生地価格の高騰など、その環境は安泰とはいえない。世界が認めるそのクオリティを、日本のものづくり文化を継承する気概とともに纏ってもらいたい。

進化し続ける老舗ファクトリーの技術と感性

AZABU TAILOR(麻布テーラー)
1999年に誕生し、全国に30店舗近くを展開するオーダースーツ専門店「麻布テーラー」。その強みは、国内に自社ファクトリーを構えることで実現した、価格を超えた付加価値。初心者から愛好家までも満足させる、明快なオーダーシステムも人気の秘密だ。写真のスーツはイタリアのドラゴ社に別注したカシミア混の高級生地を採用したもので、総毛芯仕立てによる立体感と、要所に取り入れた熟練職人の手縫いとが相まって、圧倒的なクラス感。水牛の角を使ったボタンや滑らかなキュプラの裏地など、細部にまで抜かりはない。スーツ¥173,800〜(オーダー価格)、シャツ¥20,900〜(オーダー価格)、タイ¥9,350、チーフ¥3,850/以上麻布テーラー(麻布テーラープレスルーム☎03-6426-5142)

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source : 文藝春秋 2026年10月号

genre : ライフ ファッション