「リスクもあるが、手術しないという選択肢はない」
「転倒は高齢者にとって命取りになる」。その言葉が誇張ではないことを裏付けるデータがある。2024年の人口動態統計によれば、「不慮の事故」によって死亡した約4万5700人のうち、「転倒・転落・墜落」によるものが最も多く、そのほとんどを65歳以上(1万1175人)が占めているのだ。
転倒・転落死と聞くと、階段から転げ落ちるような大惨事を想像するが、約9割は「スリップ、つまづき及びよろめきによる同一平面上での転倒」。つまり、1日に30人以上の高齢者がよろめいて転んだだけで亡くなっているのである。
では、なぜちょっと転んだだけで死に至ってしまうのか。JCHO大阪病院・整形外科診療部長、人工関節診療部長を務める中田活也医師に、その理由を聞いた。
「骨粗しょう症で骨が弱った高齢者が転倒すると、股関節付近の骨が折れる大腿骨近位部骨折や腰椎圧迫骨折のほか、手首や肩の骨折が起こりやすい。前にこけたら、手をついて手首を、うしろにこけたら尻もちをついて大腿骨、横向きだと肩を骨折するわけです」
こけたときにとっさに手が出るのはまだ若い証拠。高齢になると手が間に合わず、お尻を強く打って大腿骨近位部骨折になるという。
「大腿骨近位部骨折ではほとんどの場合で手術となります。ただし手術が成功しても5年生存率は50〜60%。つまり、手術をしても40%以上の方が5年以内にお亡くなりになる。もともとご高齢ということもありますが、かなりの死亡率であり、予後は良好とは言えません」
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