ガラケー派のオンライン

巻頭随筆

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 PCはおろかスマホも使いこなせない、僕は今どき恥ずかしいくらいのアナログ派で、だから電車の中などで、今だにガラケーを使っている人を見かけると、同志に出会えたようで嬉しくなる。

 そんな自分が今はオンラインで落語を喋っているのだから、なんとも皮肉なものである。

 新型コロナウイルスの蔓延で、寄席や落語会が軒並み開けなくなった。僕も4月5月のスケジュールは全滅である。貯金を取り崩して食う羽目になったが、こればっかりは仕方がない。殆どの仲間が同じ境遇となっている。

 腐るほど時間が出来たのだから、稽古するなりネタを作るなりすれば良いのだが、なかなかそういう気にならない。閉塞感は言い訳だ。生来の怠け癖が出ただけである。週刊文春で長年頂いている連載の仕事は当然やったが、あとは手拭いでマスクを作ったり、思い出したように部屋の整理をしたり、4月の殆どはだらだらと過ごした。

 一部の仲間達が、ネットでの配信を始めたと、ちらほら耳に入ってきた。本業の落語ばかりではなく、トークや趣味を生かしたものもあるらしかった。そういう配信が出来るのは、やはりネットに強い若手が多く、何かせずにはいられなかったのだろう。アナログ派の僕には手も足も出なかった。

 そんな僕にも、オンラインで落語を喋らないかとお声が掛かるようになり、既に何度か経験させて頂いた。精力的にオンラインで落語会を始めた先輩の会に呼んで頂いたり、ご縁のあるライブハウスでは独演会を開かせてもらったり。文藝春秋のイベント企画、文春落語のシリーズの一環としても、独演会を1回、週刊文春での相棒、林家二楽師との会を1回、催して頂いた。今後の機会も頂戴している。

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source : 文藝春秋 2020年7月号

genre : エンタメ テクノロジー 芸能