サイエンスライターの佐藤健太郎氏が世の中に存在する様々な「数字」のヒミツを分析します。
今回の数字:4色地図の塗り分けに必要な色数
地図を色分けする時、隣り合う国が別の色になるようにするには、最低何色が必要だろうか。実際に試すと、どんな地図でも4色あれば塗り分けられ4色で必要十分という証明は実に難しい。
この「4色問題」は、1976年にコンピュータを使った虱(しらみ)潰し法によって解かれたが、果たしてこれを証明といってよいのか激しい議論を呼んだ。一見するとごく単純な4色問題は、数学界を揺るがすほどの深さを備えていたのだ。このように、数学の面白さ及び難しさは、問題の見た目と実際の難易度が比例しないところにある。
こうした未解決問題に「コラッツの問題」というものがある。適当に選んだある数字が、偶数であれば2で割り、奇数であれば3倍して1を足す。得られた数字が偶数であれば2で割り……と、同じ操作を繰り返していくのだ。たとえば最初に選んだ数字が3であった場合、3⭢10⭢5⭢16⭢8⭢4⭢2⭢1と、7ステップで1にたどり着く。ではどんな数でも最後は1に到達するのか――というのが、コラッツの問題だ。ご覧の通り小学生でも理解できる内容でありながら、いまだ解決の糸口が見えていない超難問だ。
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source : 文藝春秋 2020年12月号