在米ジャーナリストの飯塚真紀子さんが、アメリカ大統領選を取材しながら「バイデンがトランプに大敗している」と感じたこととは、一体何だったのか――。
【選んだニュース】「バイデン政権、レームダック化の危険」(11月5日、英フィナンシャルタイムズ紙/筆者=エドワード・ルース)
飯塚真紀子さん
大統領にとって、重要な資質とは何だろう? 米大統領選を取材しながら考えた。民主党支持者はバイデンに投票した理由をこう話した。「バイデンは国民の痛みをわかってくれる」。
一方、トランプに投票した人はこう話した。「トランプはたくさんの選挙公約を果たしてくれた。信頼できる人物だ」。
大統領にとって重要な資質は、共感力なのか、それとも実行力なのか? 結果的にバイデンが勝利したということは、コロナ禍で人々が気弱になっている今、共感力が勝ったということだろうか?
しかし、バイデンはある点でトランプに大敗していると感じた。バイデン支持者はトランプ支持者ほどの狂信的な熱狂を発していなかった。
「トランプではないから」という理由でバイデンに投票した人もいたし、「どちらか選べと言われたらバイデンだから」と言う人もいた。つまり、バイデン支持者にとって次期大統領は“必ずしもバイデンでなくても良かった”わけだが、トランプ支持者にとっては“絶対にトランプでなくてはだめだった”のである。トランプがポピュリストたる所以ともいえるが、この求心力の差がトランプの7100万票を超える得票に繋がったのだ。
英紙フィナンシャル・タイムズの記事「バイデン政権、レームダック化の危険」はバイデンの求心力の弱さと、政権の今後を的確に予測していると思う。
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source : 文藝春秋 2021年1月号