サイエンスライターの佐藤健太郎氏が世の中に存在する様々な「数字」のヒミツを分析します。
新技術を「自然に反する」と感じる年齢(?)=35歳
以前見かけたニュースで聞いた発言が、なぜか印象に残っている。ある街の年末のイルミネーションに、LEDでなく旧来の白熱電球が選ばれた。その理由として担当者は「人と人の絆を表現するため、人工的でない自然の光がよいと思った」とコメントしたのだ。だが、いうまでもなく電球は自然物などではなく、人工の産物そのものだ。発明から100年も経ったテクノロジーは、もはや「自然」になってしまうのだなとちょっと可笑しくなった。
我々は、風に揺れる稲穂や鮮やかに色づいた果樹を見て「豊かな自然」と感じ、得られた作物を「自然の恵み」と表現する。だが考えてみれば、これらはちっとも「自然」ではない。農家の人々が汗を流して大地を耕し、丁寧に作物を植え付け、念入りに肥料を与えて初めて実現していることであり、極めて人為的な光景であるはずだ。だがそれを子供の頃から見慣れている我々は、それを「自然」と感じてしまう。
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source : 文藝春秋 2021年4月号