★首相秘書官の「相棒」
来年10月の消費税率引き上げに備えた負担軽減策が迷走している。主導しているのは、2度延期を経て「3度目の正直」と期する財務省ではない。今井尚哉(たかや)首相秘書官(昭和57年、旧通産省入省)と、その意を受けた経済産業省の新原(にいはら)浩朗経済産業政策局長(59年)の2人だ。
新原氏は今夏から増税対策会議を取り仕切り、税率を10%に引き上げる際には2%分のポイントを還元し、キャッシュレス化を推進する、など次々に案を出してきた。これは財務省はおろか、経産省の案でさえない。今井氏が新原氏に対して「新しい案を出せ」と指示をしたのである。
もともと、新原氏は経産省の本流ではない。菅直人民主党政権で首相秘書官となったが、半年で交代。2014年には内閣府に審議官として出向し、本省へ戻ることはないと思われてきた。
新原氏が「次の次官」を意味する産政局長に凱旋できたのは、加計問題でミソがついた柳瀬唯夫前経産審議官(59年)に嫌気がさした今井氏の意向と受け止められている。実は、今井氏と新原氏は小渕恵三内閣時代に、今井氏肝いりの産業活力再生特別措置法の策定責任者としてコンビを組んだ経験があり、気脈が通じていた。今井氏は部下だった柳瀬氏を切り、新原氏を抜擢したのである。
一方、財務省の岡本薫明(しげあき)事務次官(58年、旧大蔵省)は沈黙を保つ。不祥事による様々な雑音を排して、本流である岡本氏の次官昇格を死守した財務省としては、「消費税増税が実現できるなら」と、今井氏の指示に従うしかないのが実情だ。
★テロ対策の新たな主役
シリアで拘束されていた安田純平氏の解放作戦で一躍脚光を浴びた「国際テロ情報収集ユニット」(略称、CTUJ)。菅義偉(よしひで)官房長官が10月24日の記者会見でわざわざその存在に触れたが、政府スポークスマンがインテリジェンス機関の活動を誇るのは異例のことである。
創設3年目のCTUJを発足から率いてきたのが瀧澤裕昭内閣審議官(57年、警察庁)である。警察庁外事情報部長などを歴任し、国際刑事警察機構(ICPO)の出向経験もある国際派。警察官僚としては、ほぼ一貫して外事とインテリジェンス畑を歩み、「英語も抜群のエース」(警察庁関係者)である。
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source : 文藝春秋 2018年12月号