国語辞典編纂者の飯間浩明さんが“日本語のフシギ”を解き明かしていくコラムです。
【す】「スピッツさん」から「団体名+さん」を考える
ノンフィクションライターの小泉カツミさんが、ネットの「現代ビジネス」に小事件を報告していました(4月30日付記事)。音楽番組で、女優・歌手の上白石萌歌(かみしらいしもか)さんが、自身もファンであるバンドのスピッツと共演を果たした。上白石さんは〈スピッツは、私にとって神様的存在〉と大喜び。ところが、ネット上では〈スピッツさんじゃねえのかよ〉などと、バンド名に「さん」をつけないことが批判されたというのです。
私は、団体名には「さん」は不要で、どんなに尊敬していても「スピッツ」でいいと思います。ところが、その私も、実際に関係者を目の前にすると「乃木坂46さん」のように言っちゃう。不要だと思うのに「さん」をつけてしまうのは、われながら不可解です。
この「団体名+さん」という言い方は、敬意過剰な最近の日本語を象徴している——などと言えればかっこいい。でも、この言い方が最近広まったものかというと、いささか疑問を持ちます。
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source : 文藝春秋 2021年7月号