中台をめぐるワクチン“超限戦”

新世界地政学 第120回

ニュース 政治 中国

 1年前は、コロナ対応の優等生と目された東アジアの国々でコロナ感染がぶり返している。コロナ感染を抑え込んできたことが裏目に出て、ワクチン接種で出遅れた側面もある。ただ、その中で中国だけは独り、感染抑制とワクチン接種と経済正常化の各方面で対応の冴えを見せている。一気に「コロナ病棟」を建設し、地方から多数の医療従事者を呼び寄せた。国産ワクチンをフル回転で生産し、1日、2500万回のワクチン接種体制を敷いている。インドの500万回、日本の100万回に比べるとスピードの速さが際立っている。

 その一方で、コロナ対応のMVPでもあった台湾が現在、コロナ感染に苦しんでいる。航空会社のパイロットが英国変異株を持ち込み、宿泊先のホテルの従業員がそれに感染し、さらに市中感染へと広がったと見られている。ワクチン接種率も6月23日時点で7%程度にとどまっている。

 台湾の最大の誤算は、ドイツのビオンテック社とのワクチン購入契約が最終段階で「保留」とされたことである。これに関しては、蔡英文総統が「中国の介入によって現在も契約できていない」と国民に釈明した。頼怡忠民進党国際事務部主任(当時)はこの点に関して、次のように説明している。

「中国は台湾に中国製ワクチンを提供する用意があると発言する一方で、至る所で台湾の中国製以外のワクチンへのアクセスを妨げている。去年、台湾政府とビオンテックとのワクチン購入協議は、中国の妨害により契約寸前で死産となった」

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source : 文藝春秋 2021年8月号

genre : ニュース 政治 中国