文藝春秋digitalのオンライン対談イベント「日本の野党はなぜダメなのか? 維新躍進、女性政治家、落選…」が、2021年12月21日に開催されました。
この日のイベントでは、第49回衆院選で議席を失った立憲民主党前副代表の辻元清美さんがゲスト登壇。ご自身の根底にあるものは「大阪の商売人の家に生まれた現実主義者」であると語った辻元さん。近現代史研究家の辻田真佐憲さんとの対話のなかで、自民党と野党の違い、選挙制度、皇室問題、辺野古移設問題などの現代社会の課題について、自身の立場を明確にした上で率直に話しました。
「政治というものを私は妥協の芸術だと思っています。芸術的に妥協しないといけない」
「例えば、政策というのは野党の顔を立てつつ着地点を見つけないといけないですし、野党の政治家ととことんまで話をして調整すれば、大半の国民に納得してもらえる政策がつくれる。そこまでしないといけない」
自身を「現実主義者」と定義する辻元さんですが、辻田さんから「現実主義者であれば自民党に入るという選択肢もあるのではないか?」という質問を向けられた際には、「(自分は)リベラルだからそれはない」と答えました。そこで辻田さんは「自民党にはないリベラル性とは何なのでしょうか?」とさらに問いかけました。辻元さんはこう答えました。
「一言で定義するのは難しいけれど、大事なのは競争よりも共生を優先すること。共生の中には、男女の共生、民族の共生、環境との共生などがある。自民党はどちらかといえば、自己責任とそれを救済する社会保障を重視している。私たちは、お互いに支えあうことを基軸にした上で、競争力を生み出すことを重視している」
さらに辻元さんは、野党として長く国会議員を続けてきた原動力を「世襲の議員たちに負けたくないという気持ちがあった」と語ります。
「庶民でも、女でも、総理大臣を目指してもいいんだという。小選挙区制度は世襲が強い。自民党は3分の1以上が世襲になってしまった。私は世襲政治が日本の政治の活力を失わせていると思う。新規参入者が活躍できない。野党が弱い原因だけではなく、自民党の中でも新陳代謝が起こらなくなる」
幅広い話題の中で辻元さんらしい多様性の捉え方が話されたのは大阪の話でした。外国人も多く、商人の街でもあり、ボトムアップで作られていく自治の街としての大阪の多様性を、辻元さんは「『お好み焼き』みたいな街。いろんなものがゴチャゴチャに混ざり合っていて、おいしい。維新はそれを画一的にしようとしている」と表現し、日本全体の多様性は大阪にくらべたら「『鍋』くらいの感じ。いろんな食材が隣り合っている」と語りました。
辻田さんは「多様性を考える時に多様性という言葉をそのまま使ってしまうと、抽象的で空理空論のように聞こえてしまうことがある。しかし『お好み焼き』や『鍋』という言い方をすると、生活感や現実感のある響きになる。そういう言葉を使って考えることも大事ですね」と話し、辻元さんの語りの魅力にも言及しました。辻元さんの話には、常に生活者としての実感が根底にありました。
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