国会の黒子として

巻頭随筆

藤井 亮二 前参議院予算委員会調査室長
ライフ 政治 ライフスタイル

 国会は開会中、400メートル四方の敷地に約7000人が密集し、さまざまな情報や思惑がうごめく独特の雰囲気がある場です。衆議院議員465人、参議院議員245人に政策秘書や公設秘書、衆参両院・国会図書館の職員に加えて、政府関係者や報道陣、周辺警備の警察官や院内業者、陳情の方などが行き交います。

 国会職員として働く国家公務員がいることは昔も今もほとんど知られていません。参議院での就職が決まった時、回りから「国会議員のようには見えない。秘書ですか」と聞かれました。「サンギ院に就職? どこのお寺ですか?」と聞かれた先輩もいました。

 1985年4月の参議院事務局入局時は、第102回国会(常会)の真っ最中です。戦後1947年5月20日に第1回国会が召集され、以後、国会の召集ごとに通算して回次が重ねられます。

 就職した時、国会を100回分こなしたら「卒業」の時期だと聞きました。その予告通り昨年12月の第207回国会(臨時会)を終えて退官したので、ほぼ100回分の国会を経験しました。戦後国会のほぼ半分に携わったことになります。

 国会職員は国会議員や秘書との接し方が国家公務員の中でも独特です。政治の渦中にいながら、徹底的な中立性を求められます。中央官庁の国家公務員は議院内閣制の下で、時の与党と一体となって政権を支えます。一方、国会職員は徹底して与野党を問わずに議員や秘書を補佐します。

 参議院在職36年間のうち28年間を調査スタッフとして、政府が提出する予算を審議するための調査・分析などを行ってきました。政府は予算や法案を完璧なものとして国会に提出しますが、国民から見れば多くの課題を抱えていることがあります。

 与党が政府の施策を認めながらも建設的意見を述べたい時、野党が法案の問題を指摘したい時、国会の調査スタッフとしてそれぞれの立場に立って考え、調べ、議論する材料を集めて一緒に検討します。ある意味融通無碍に議員や秘書と一体となって国会審議に携わってきました。

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source : 文藝春秋 2022年5月号

genre : ライフ 政治 ライフスタイル