東京都千代田区 ホテルニューオータニ日本庭園にて(撮影・杉山秀樹)
(右から)
大和アセットマネジメント代表取締役社長
小松幹太
保土谷化学工業常務執行役員
辻次賢二
がん研有明病院消化器センター長
福長洋介
関西電力取締役代表執行役副社長
森望
多摩南部地域病院泌尿器科部長
矢野雅隆
当時、母校は独自の教育方針で知られた。毎朝の20分テストや徒歩訓練、キャンプ、男子はサッカー、女子はバレーのみの体育。挨拶や髪型など、しつけにも厳しかった。
小松はサッカー部。数学が得意で英語が苦手なのに一橋大に進み、大和証券では独・瑞・英・米に15年も駐在、9・11にも遭遇した。独語・英語を話す国際的な証券人として活躍。同社CFOや副社長を経て、今春から資産運用ビジネスに挑む。
福長は大阪市大医学部、同大学院を修了後、15年の修練を積み2010年にがん研有明病院赴任。「大腸がんの名医」と名高い。多くのがん患者を救うことが生きがい。厳しい中高でも際立っていた持ち前の明るさを、今でも発揮しながらメスを振るう。
森は高校から入学。京大大学院修了後、関西電力入社。地中送電の技術屋からスタートし、電力事業の本流を歩む。最近は再生可能エネルギーや水素など新事業開拓に奔走。新たな出会いに感じる喜びは、転宅転校を繰り返した幼少期から変わらない。
矢野は東大工学部卒業後、東京医科歯科大へ。多摩南部地域病院で外科診療の他、DMAT(災害派遣医療チーム)、ICD(インフェクションコントロールドクター)として、災害医療や感染症対策に献身。東日本大震災でも被災地で活躍した。
辻次は京大に進み、日本興業銀行入行。バブル崩壊、銀行再編、リーマンショック等、常に金融の最前線に立ち、36年間激動の日本経済と苦楽を共にした。みずほFG執行役常務を経て、昨年化学メーカーへ。新たなミッションに立ち向かう。
5人共還暦を迎える歳となったが、中高時代、無心にサッカーボールを追いかけたように、今もそれぞれのピッチで、ゴールを目指して走り続ける。(辻次)
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source : 文藝春秋 2022年6月号