【か】「鑑みる」の前の助詞「に」「を」どっちにするか

日本語探偵

飯間 浩明 『三省堂国語辞典』編集委員
ライフ 読書
国語辞典編纂者の飯間浩明さんが“日本語のフシギ”を解き明かしていくコラムです。

【か】「鑑みる」の前の助詞「に」「を」どっちにするか

 日本語の助詞は揺れ動く。「水を飲みたい」か「水が飲みたい」か。前者が新しいと思っている人もいますが、実はどちらも室町時代からある用法です。私たちの『三省堂国語辞典』(三国さんこく)第8版の「たい」の項目にも書いてあります。

 では、「かんがみる」はどうか。「内外の諸情勢( )鑑みて」。ここに「に」「を」のどちらが入るかも揺れています。少し前までは「~に鑑みる」が一般的でしたが、最近は「~を鑑みる」も多くなりました。そこで、『三国』では〔「を鑑みる」は新しい言い方〕と説明しました。

 でも、この説明は不十分でした。『日本国語大辞典』第2版には、「鑑みる」の古い用例が出ています。たとえば、14世紀の「太平記」には〈臣が忠義をかんがみて〉。また、17世紀の浮世草子「新色五巻書しんしきごかんしょ」には〈さる天文これを鑑み〉。このように、古くは「~を鑑みる」が普通に使われていたのです。

有料会員になると、この記事の続きをお読みいただけます。

記事もオンライン番組もすべて見放題
新規登録は「月あたり450円」から

  • 1カ月プラン

    新規登録は50%オフ

    初月は1,200

    600円 / 月(税込)

    ※2カ月目以降は通常価格1,200円(税込)で自動更新となります。

  • オススメ

    1年プラン

    新規登録は50%オフ

    900円 / 月

    450円 / 月(税込)

    初回特別価格5,400円 / 年(税込)

    ※1年分一括のお支払いとなります。2年目以降は通常価格10,800円(税込)で自動更新となります。

    特典付き
  • 雑誌セットプラン

    申込み月の発売号から
    12冊を宅配

    1,000円 / 月(税込)

    12,000円 / 年(税込)

    ※1年分一括のお支払いとなります
    雑誌配送に関する注意事項

    特典付き 雑誌『文藝春秋』の書影

有料会員になると…

日本を代表する各界の著名人がホンネを語る
創刊100年の雑誌「文藝春秋」の全記事、全オンライン番組が見放題!

  • 最新記事が発売前に読める
  • 毎月10本配信のオンライン番組が視聴可能
  • 編集長による記事解説ニュースレターを配信
  • 過去10年6,000本以上の記事アーカイブが読み放題
  • 電子版オリジナル記事が読める
有料会員についてもっと詳しく見る

source : 文藝春秋 2022年8月号

genre : ライフ 読書