銀行員がどんどん辞めている 現場報告

特集 銀行淘汰が始まった

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「人員・店舗・預金」の3つの過剰が銀行の足枷に

メガバンク ©文藝春秋

「約100人の同期のうち、すでに50人ほどが銀行を去りました」

 こう語るのは有力地銀で入行8年目のA氏30歳。有名国立大を出て支店での個人・法人営業も経験、企画セクションで社長直轄の戦略立案を担ったこともある。

「金融商品のノルマに嫌気がさした人も多かったのですが、結局、安定していると思っていた銀行の将来が見えないことに不安を感じた人が退職したのだと思います。それが証拠に転職先は地元の県庁や市役所など公務員が圧倒的に多いです。もはや銀行は安全志向の人のための職場ではなくなりました」

 かつて就職市場で銀行の人気は抜群に高かった。その背景には、給与の高さに加え、その「安定性」があった。つまり高給で「潰れない会社」だと思われてきたのだ。

 しかし、それもすっかり過去の話だ。銀行は、今、大転換期を迎えている。

銀行は「安定性」を演出

 預金者から資金を集め、企業に融資する銀行融資は、「お金を借りる人(企業)」と「お金を貸す人(預金者)」の間に第三者(銀行)が存在するという意味で「間接金融」と呼ばれ、高度成長期にはうまく機能し、銀行と企業は「長期に安定的な関係」を築いた。だが、一見「安定的」に見える間接金融も、実は、決してリスクの低いビジネスとは言えない。自己資金の何倍ものお金を企業に貸し出す以上、企業からの返済が滞れば、とたんに屋台骨が揺らぐからだ。貸出債権の価値も、企業の返済余力に左右されるので外側からは見えにくい。だからこそ銀行は、「安定性がある」「信用がある」と顧客や市場や世間に思いこませる必要がある。

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source : 文藝春秋

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