第一三共の不可解報道、EV戦国時代の到来、KNT-CTと日本旅行の急接近、ゼンショー再びの躓き

丸の内コンフィデンシャル

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★第一三共の不可解報道

 第一三共(眞鍋淳社長)を巡る不可解な報道が話題だ。8月31日、ある経済誌のオンラインニュースが流した「英アストラゼネカ、第一三共に買収提案 狙われる『日の丸製薬』」がそれ。

 報道を受けて第一三共の株価は急上昇。一時は前日比13%高となり、年初来高値を更新した。世界的な製薬業界の再編が進むのではとの思惑も広がり、中外製薬(永山治会長兼最高経営責任者)や田辺三菱製薬(三津家正之社長)などの株価も上がった。

 だがこの記事を読み進めていくと「アストラゼネカが買収を持ちかけたのは昨年で、第一三共はこの提案を断った」とある。つまり終わった話が蒸し返されたに過ぎない。にもかかわらず、見出しだけを読めば大半は現在進行形だと受け止めるだろう記事が、ネット上に踊ったのだ。

 買収提案自体は確かにあった。けしかけたのは野村證券(森田敏夫社長)だ。「第一三共の海外M&Aを野村がアドバイスしていたが、成功案件が少なく、両社の折り合いが悪くなっていた。そこで野村は第一三共に一泡吹かせてやろうと、買収話を仕掛けた」(証券関係者)という。だが結局、第一三共社内では子細に検討されないまま話は流れ、報道されることもなかった。

 それが今、なぜか仰々しく報じられたことで投資家たちは馬鹿を見た。見出しを見て「製薬業界再編の号砲か」と飛びついたが、よく読めば昔話。東京証券取引所(宮原幸一郎社長)は報道の真偽を確かめるとして第一三共株の売買を停止、この措置を大引けまで解除しなかった。そのため、買った株をすぐに手放そうにも売れなかったという散々な目にもあっている。

 この話にはおまけも付いている。取引時間終了後、第一三共は2017年4〜9月期に約278億円の減損損失を計上すると発表したのだ。14年に結んだ米チャールストン・ラボラトリーズとの契約を解約することに伴い、損失が発生したためだ。

 同日夜、第一三共は「アストラゼネカから買収提案があったというような事実は一切ない」という短いコメントを発表した。本来ならば罪深き報道に憤ってもよさそうなものだが、比較的冷静なのは「投資家の目が報道に向き、売り材料である減損処理発表がかすんだから」(製薬業界関係者)という声もある。

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source : 文藝春秋 2017年11月号

genre : ビジネス 企業