不安なゼロックス新体制、ヤマトvsアマゾン、タカタ会長の厚顔、大手パチスロ・ワンマン創業者の疑惑

丸の内コンフィデンシャル

ビジネス 企業

★不安な新体制

 富士フイルムホールディングス(HD)の古森重隆会長は、子会社の富士ゼロックス(栗原博社長)で発覚した不正会計(架空売上)問題で、山本忠人会長ら5人の役員を退任させた。古森氏は自らゼロックスの会長を兼務、7人の役員を同社に派遣。栗原社長は留任した。

 架空売上が発覚したのは、あずさ監査法人(酒井弘行理事長)の公認会計士が、ゼロックスのニュージーランドの販売会社の不正会計問題が地元誌に取り上げられていたのを発見したのがきっかけ。不正はさらにオーストラリアでも見つかった。ボーナスが売上に連動して支払われていたことから、架空売上が横行していた。この売上至上主義は、ゼロックス本体でも蔓延(はびこ)っていたと言われる。

 富士フイルムHDの助野健児社長は会見で、「ゼロックスは1兆円以上の売上があり、ある種、独立した企業体。HDは細かく干渉してこなかった」と、問題を把握できていなかったことを告白した。ゼロックスは2001年、富士写真フイルム(当時)社長の古森氏が米ゼロックス社から持ち分を買い取り、出資比率75%に高め子会社になった。だが「米ゼロックスの製品をアジア太平洋地域で販売してきたという歴史的な生い立ちから、ゼロックス側には子会社という意識は薄かった」(富士フイルム元幹部)。またゼロックスには経済同友会代表幹事も務めた故・小林陽太郎氏が長らく会長・相談役として君臨。絶対権力者の古森氏と言えど、経営に口を挟むことはなかなかできなかったのだ。

 今回の事件を機に古森氏はゼロックスの首脳陣をほぼ全面刷新。年内にも両社は管理部門を統合し、経理、人事、広報などを一本化する。懸念されているのが栗原氏の手腕だ。「栗原氏が留任したのも古森氏の言うことを聞くから。だが栗原社長は不正会計の問題について、『当事者がとにかく隠す。経理に聞いても、柳川さん(今回の人事で退任した柳川勝彦取締役)も本当のことを言わない』とボヤいていた」(同社関係者)という。果たして栗原氏の下で、不正会計という重大な問題を起こした企業風土を変えることが出来るのだろうか。

★ヤマトvsアマゾン

 深刻な人手不足にあえぐ宅配業界。最大手ヤマトホールディングス(山内雅喜社長)傘下のヤマト運輸(長尾裕社長)が大口顧客の荷物の受け入れ抑制と、運賃値上げ交渉を進めている。

 荷物の受け入れについては、アスクル(岩田彰一郎社長)が個人向けネット通販で当日配送の一部休止、アパレルネット通販のスタートトゥデイ(前澤友作社長)は当日配送の全面取り止めを発表した。

 運賃については、ヤマトは10月から消費者向けの基本運賃を平均15%引き上げることを発表。大口顧客に関しても平均15%以上の値上げを求めており、9月末までの合意を目指している。1000社に及ぶ大口顧客のうち、最大の交渉相手はアマゾンジャパン合同会社(ジャスパー・チャンジェフリー・ハヤシダ社長)だ。ヤマトが年間で取り扱う約19億個の荷物のうち、15〜20%がアマゾンの注文によるものとされている。アマゾン向けの値上げが実現しなければ、ヤマトの戦略は空振りに終わる。

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source : 文藝春秋 2017年08月号

genre : ビジネス 企業