三代目三遊亭圓歌、佐田の山、日下武史、与謝野馨、月丘夢路

蓋棺録

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 落語家・三代目三遊亭圓歌(さんだいめさんゆうていえんか)(本名・中澤圓法)は新作落語で売出し、テレビ時代の寵児として大活躍した。

 1950(昭和25)年、吃音の生徒がカール・ブッセの詩『山のあなた』を「山のアナ、アナ……」と読んでしまう『授業中』で人気が沸騰する。子供のころ吃音で悩んだ経験に基づく新作だった。

 29年、東京の向島に生まれる。祖母が営む駄菓子屋で育てられたが、父も母もいなかった。「ときどきやってくる『お姉さん』と呼ばれていた女性が、自分の母親らしいとは気づいていましたね」。

 小学時代は近所の悪童たちと遊んだ。後に漫画家になる滝田ゆう、アナウンサーになる小川宏などがいた。鉄道員になるため岩倉鉄道学校(現・岩倉高校)に入学するが、途中から学徒動員で新大久保駅に配属。「新大久保、新大久保と怒鳴っていました」。

 戦後、吃音をなおすため、二代目三遊亭圓歌に入門。初対面で緊張して吃音が出てしまい、「で、で、弟子にしてください」というと二代目はすぐに「おお、いいよ」と受け入れてくれた。実は、二代目も子供のころ吃音だった。

 初めは歌治の名をもらって、2つ目のときから歌奴で活躍。人気が出て真打になってからも、しばらく歌奴を続けた。平均月給が1万4000円ほどの時代に、1回の高座で3000円から5000円。そのほとんどを遊郭で散財したという。「女は芸の肥やしなんていうけど、そんなんで芸がよくなるわけがないですね」。

 70年に三代目三遊亭圓歌を襲名。テレビ出演を控えて高座に専念し、あれほど当たった『授業中』はすっぱりとやめた。「あの新作は、嫌な先生はご隠居さん、生徒たちは長屋の住人、教壇はご隠居の火鉢ということで、古典からヒントを得たんです」。

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source : 文藝春秋 2017年07月号

genre : エンタメ 芸能