渡部昇一、ペギー葉山、松本俊夫、京唄子、大岡信

蓋棺録

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 上智大学名誉教授で評論家の渡部昇一(わたなべしょういち)は、該博な知識を武器に、タブーを恐れぬ激しい論争を繰り広げた。

 1976(昭和51)年、『知的生活の方法』を刊行すると、またたくまにベストセラーとなって、「知的生活」は流行語としても使われた。「知的誠実」を掲げて読書生活を薦める同書は、豊かになりつつあった日本人に愛読された。

 30年、山形県鶴岡市に生まれる。父は農家出身だったが、鶴岡に出て小さな商店を経営していた。子供の教育には熱心で、本への出資を惜しまなかった。渡部は小学生のころから少年講談や『三国志』に夢中になったという。

 必ずしも勉強好きの少年ではなかったが、旧制鶴岡中学(現・県立鶴岡南高校)に入学して佐藤順太先生に出会い、読書の本当の楽しさを知ったのが大きな転機となった。

 上智大学予科に入学して、同大学では英語学を学ぶ。西ドイツや英国に留学し、ミュンスター大学(ヴェストファーレン・ヴィルヘルム大学)から博士号を受けて、母校の上智大学で教壇に立った。

 専門の言語学研究を進めるかたわら、歴史や思想の分野にも関心を広げた。共産主義に反対する経済学者団体モンペルラン協会の重鎮フリードリヒ・ハイエクが来日して、今西錦司と対談したさいには、独語と英語を使って通訳を務めている。

 74年、独自に研究していたドイツ軍事史を、『ドイツ参謀本部』にまとめて出版するとベストセラーとなる。また、76年、『諸君!』などに掲載した論文を収めた『腐敗の時代』が日本エッセイスト・クラブ賞を受賞した。

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source : 文藝春秋 2017年06月号

genre : エンタメ 芸能