三越伊勢丹HD・お家騒動のDNA、異色の経団連人事、ロッテ内紛再燃、地銀の受難

丸の内コンフィデンシャル

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★お家騒動のDNA

 突然の交替劇だった。3月4日、三越伊勢丹ホールディングスの大西洋社長は「定例会議後、石塚邦雄会長に応接室で『指名報酬委員会で決まった。サインを』と辞任を迫られ、10分足らずで辞表を書いた」(同社関係者)。3日後の指名報酬委員会は大西氏の退任と、杉江俊彦専務執行役員の社長昇格を答申。4月1日付で正式に杉江氏が新社長に就いた。石塚氏は6月の株主総会で退任する。

 業績が徐々に悪化していく中、不採算店舗の整理など社内改革に意欲を示していた大西氏を中傷する怪文書が、昨夏から飛び交っていた。

〈(大西氏が)皆の反対を許さず、強行した免税店、サロン等中小型店、思い付きと外部の食い物になっている投資の数々、実績は計画の半分以下は当たり前、2割に満たないものも多い〉

 反大西ムードを背景に、飯沼寿也労働組合本部執行委員長は、石塚氏に「現場が混乱している」と訴えた。そしてメーンバンクの三菱東京UFJ銀行相談役・永易克典氏、三井物産顧問・槍田松瑩氏ら社外取締役たちは、大西氏・石塚氏とも第一線を退く「喧嘩両成敗」の結論を出した。

 怪文書が乱れ飛び、労働組合が反旗を翻し、メーンバンクが引導を渡す構図は昔と同じだ。1982年、旧三越で起きた岡田茂社長の解任劇も、労組が岡田氏に反発し怪文書が乱舞。三井銀行(現・三井住友銀行)の小山五郎相談役が更迭の絵図を描いた。1993年、旧伊勢丹の小菅国安社長のときも同様。不動産会社・秀和(小林茂社長)に株式を買い占められる事態に、労組と役員、三菱銀行(現・三菱東京UFJ銀行)が小菅氏に見切りを付けた。両社統合後も、お家騒動のDNAは変わらなかった。

 今回、4月1日付の役員人事では大西派が粛清され、反大西派が返り咲いた。大西氏側近の鷹野正明常務執行役員・伊勢丹新宿本店長は役員も店長もクビ。一方、「伊勢丹メンズ館の旗手」と言われながら冷遇されていた竹内徹氏は、百貨店事業の実質トップとして新社長を補佐する。

 杉江氏は「旧伊勢丹出身で不採算店の閉鎖を実行する経営戦略本部長のポストにありながら、旧三越出身の石塚氏と気脈を通じていた人物」(同社幹部)である。それだけに今回の人事には社内で不満の声も多い。いまなお火種はくすぶっている。

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source : 文藝春秋 2017年05月号

genre : ビジネス 企業