傷ついた金融庁長官候補の経歴、同期4人が財務省トップに、「守り」の経産省へ、警察「2020年代」問題

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★進まぬ年金改革

 通常国会終盤で苦境に立たされた金融庁。衆参ダブル選挙をめぐり永田町がピリピリしている最中に「老後資金2000万円」問題で集中砲火を浴びた。特に与党の怒りはすさまじく、次期長官の有力候補だった三井秀範企画市場局長(昭和58年、旧大蔵省入省)の経歴は深く傷ついた。

 危機感を抱いているのは、同庁の遠藤俊英長官(57年)だけではない。「将来の消費税引き上げを目論んで財務省が後ろで年金危機を煽っているのでは」(自民党若手)と勘ぐられた岡本薫明(しげあき)財務事務次官(58年)も渋い表情だ。

 岡本氏は金融庁を経験した数少ない財務省幹部であり、森信親前長官(55年)や遠藤長官の相談相手になってきた。「財政と金融は深く結び付いている。金融庁とは二人三脚で進みたい」が持論だが、さすがに表立って金融庁をかばうわけにもいかない。

 加えて心配されているのは、参院選後の内閣改造で麻生太郎財務相が金融相の兼務を解かれ、専任の閣僚が置かれることだ。金融庁が財務省とは別に職員の採用を始めて15年余り。同庁では財務省の仕事を知らない企画官や課長補佐が増えている。「一体に近い運営ができているのは大臣が同じだから。兼任方式を崩してほしくない」(局長級幹部)という。

 一方、経産省は金融庁の報告書と同じ意見だが、見て見ぬふり。社会保障分野に切り込んできた新原(にいはら)浩朗経済産業政策局長(59年、旧通商産業省)も沈黙を守る。新原氏に近い課長は「年金はやはり恐い。下手に手を出すと火だるまになることがよく分かった」と縮み上がっている。

 今回の問題で、選挙前には年金をめぐる議論がタブーであることを、霞が関全体が改めて思い知った。同時に、「国政選挙は1、2年に一度はある。いったい年金改革はいつ議論できるのか」(内閣府幹部)という嘆き節も広がっている。

★異例の同期4人がトップ

 2度にわたって延期された消費税10%が10月に実現することを踏まえた財務省の幹部人事が早々に決まった。岡本次官と太田充(みつる)主計局長は留任し、財務官には武内良樹氏が国際局長から昇格。さらに国税庁長官は星野次彦氏が主税局長から持ち上がりと、同期4人がトップに並ぶ異例の構造ができあがった。

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source : 文藝春秋 2019年8月号

genre : ニュース 政治