ピンチをチャンスに
11月号掲載の永守重信氏『自動車産業の「インテル」になる』を興味深く読みました。
氏を初めて知ったのは、日本電産がシンポ工業を買収した頃に行われた彼の講演会でした。創業した1973年から20年程経った頃だったでしょうか。講演会が始まって間もなく発せられた氏の言葉を、今も覚えています。
「世界一のモーター会社になる」そして「人の倍は働く」。創業20年そこそこの会社が“大ぼら”を吹くと思いましたが、その話し方や経営者としての物言いは、私が退職まで勤めた工作機械を生業とする会社の社長と多くの類似点があります。
それは、大きな目標を立て、それを社内社外、そして取引先まで公言すること。業界では新参者であったものの、永守氏同様、売り上げは、毎年倍々で成長しました。国内のパイ(需要)が少ないと読むや、世界のトヨタより早く米国へ現地工場を建て進出したのです。
ですが当時、米国の工作機械は世界一でした。同業者からはワインをフランスに売り込む暴挙だと揶揄されました。日本では二流三流の工作機械会社が、世界一の工作機械会社になることを掲げ、目標に突き進みました。正に氏の「インテル」と同じです。
トランプ大統領と氏の夕食会で「ミスターナガモリ、あなたは中国ばかりに投資しているじゃないか」に応じた、「工場を建てるのも会社を買収するのも同じ投資ではないか」との言葉は、これぞ日本を代表する真の経営者の物言いだと溜飲が下がりました。
今、日本中が、世界中がコロナ禍に疲弊しています。ピンチをチャンスに捉える企業がますます増えてくる予感を感じさせる、永守氏の戦略でした。(松坂年造)
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source : 文藝春秋 2020年12月号