意見しただけで除名される恐怖支配――独裁者が牛耳る日本共産党の末期症状(取材・構成 広野真嗣)
私は60年余りにわたって身を捧げてきた日本共産党から除名されました。志位和夫氏が日本共産党の委員長に就いて23年になりますが、政治的な理由による除名は、松竹伸幸さん(元党政策委員会安保外交部長)と私の2人だけです。
除名は、党規約に定められた4段階の処分で最も重いものです。そんな重要な決定なのに、党京都府委員会による聴き取りは3月8日にわずか30分間。「規律違反で処分する」という言い渡しがその6日後の15日で45分間。その翌16日の夜に、ポストに届いた1通の封書が除名の通知でした。たったこれだけ。長い党員経験のなかで見ても、これは拙速で乱暴な判断だったと思います。処分は撤回されるべきで、遠くない時期に「誤りだった」ということになると期待しています。
それにしても、なぜこんな仕打ちをされたのか。それは、私が現役党首を名指しで批判したからです。
こう語るのは3月16日に日本共産党を除名された元党京都府委員会常任委員、鈴木元氏だ。氏は今年1月、『志位和夫委員長への手紙』(かもがわ出版、以下『手紙』)を上梓し、志位委員長に即刻辞任を求めた。
除名の波紋は大きく、4月の統一地方選挙での日本共産党の大敗に大きな影響を与えたと見られる。
1944年生まれの鈴木氏は、高校3年の時に入党した党歴60年の古参党員。進学した立命館大学では、学生党委員会の委員長に就き、わずか数十人だった組織を1000人規模にまで育て上げた。部落解放同盟や全共闘を追い出した豪腕から「京都に鈴木あり」と一目置かれてきた叩き上げの運動家で、党勢拡大の功労者でもある。そんな鈴木氏が、本誌の単独インタビューに応じた。
京都府委員会をねじ伏せた者
党のトップを批判すると即刻除名されるのには、前例があるんです。
宮本顕治氏が“党の顔”だった時代の1986年、東大院生の伊里一智氏が「宮本議長の解任決議案」を提出しようとしたところ、「分派」と断定され除名されました。この際、宮本氏の意を受け東大に乗り込んだのが、党中央の勤務員だった志位氏でした。志位氏は伊里氏を批判し宮本氏を持ち上げる「変節者のあわれな末路」などの論文を書き、党内でデビュー。その1年後に、書記局長に大抜擢されたのです。
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source : 文藝春秋 2023年6月号