中村勘九郎と太地喜和子の「舞台裏」

関 容子 エッセイスト
エンタメ 芸能 ライフスタイル

 十八代目中村勘三郎(当時・勘九郎)が、人に誘われて初めて太地喜和子の舞台を観たのは、文学座アトリエ公演、宮本研『櫻ふぶき日本の心中』。昭和50年夏、20歳の時だった。

 この芝居は、3人の座頭と旅する鳥追い女(太地)が、女郎や、白痴みたいな女や、双子の兄とは知らずに愛する令嬢に転生し、座頭たちが転生した戦後の特攻崩れ、過激派学生、拳銃強盗をそれぞれ優しくいたわり、つきあって心中する話。

「とにかく素敵。チャーミング。色っぽくて可愛くて、その上ものすごくうまかった」

 すっかり魅了された勘三郎は、二度目に一人で行き、最前列で喜和子さんと目が合う。熱に浮かされたように劇場を出ると、暗い物陰から血だらけの手がスッと伸びて、

「ねえ、ここで待っててね、すぐ着替えて来るから」

 それからは急接近して、毎日のように逢瀬を重ねるまでになる。

中村勘三郎 ©文藝春秋

 2人の年齢差は、ひと回り違いの未(ひつじ)年同士。しかし一緒に観た映画『エーゲ海の旅情』が2人をさらに強く結びつけた。

有料会員になると、この記事の続きをお読みいただけます。

記事もオンライン番組もすべて見放題
今なら初月298円で楽しめる

  • 今なら、誰でも、この価格!

    1カ月プラン

    キャンペーン価格

    初月は1,200

    298円 / 月(税込)

    ※2カ月目以降は通常価格1,200円(税込)で自動更新となります。

  • こちらもオススメ

    1年プラン

    新規登録は50%オフ

    900円 / 月

    450円 / 月(税込)

    初回特別価格5,400円 / 年(税込)

    ※1年分一括のお支払いとなります。2年目以降は通常価格10,800円(税込)で自動更新となります。

    特典付き
  • 雑誌セットプラン

    申込み月の発売号から
    12冊を宅配

    1,000円 / 月(税込)

    12,000円 / 年(税込)

    ※1年分一括のお支払いとなります
    雑誌配送に関する注意事項

    特典付き 雑誌『文藝春秋』の書影

有料会員になると…

日本を代表する各界の著名人がホンネを語る
創刊100年の雑誌「文藝春秋」の全記事、全オンライン番組が見放題!

  • 最新記事が発売前に読める
  • 毎月10本配信のオンライン番組が視聴可能
  • 編集長による記事解説ニュースレターを配信
  • 過去10年6,000本以上の記事アーカイブが読み放題
  • 電子版オリジナル記事が読める
有料会員についてもっと詳しく見る

source : 文藝春秋 2023年7月号

genre : エンタメ 芸能 ライフスタイル