病院ではなく、長年過ごしてきた自宅で最期の時を迎えたい。自宅で家族を看取りたい。「在宅診療所」は、そんな選択をする人の強い味方になってくれる医療機関です。
ここ20年、国も「地域包括ケア」を提唱し、在宅診療所を支援してきました。ところが、現在に至っても「在宅看取り率」は15%程度で、上昇していません。それはなぜか?
東京都江戸川区でしろひげ在宅診療所の院長を務める山中光茂さんは、「『なんちゃって在宅診療所』ばかりだからです」と語ります。在宅で看取るためには「24時間365日」の対応が必須なのに、実際はその能力を持っていない「在宅診療所」が多すぎるというのです。
詳しくは、「文藝春秋」9月号に掲載された、山中光茂さんの「なんちゃって在宅診療に気をつけろ」を読んでいただければと思いますが、しろひげ在宅診療所は、「24時間365日」の体制を敷いて、2018年の開業から常に80%以上の「在宅看取り率」を達成しています。
取材と打ち合わせを兼ねて、江戸川区東瑞江の診療所にうかがうと、目に飛び込んできたのは、新しく開放的なデザインの建物。内部も壁が少なくスタッフが一望できる風通しのいいオフィスでした(写真)。毎朝8時から始まるミーティングでは、医師、看護師、ケアマネジャー、ドライバーなど在宅診療に携わる50名以上のスタッフが集まり、患者ひとりひとりの最新の情報が報告・共有されていました。
私の70代後半の両親は江戸川区のお隣の市で元気ですが、いつ介護や在宅医療が必要になってもおかしくない年齢です。備えあれば憂いなし。両親が元気なうちに在宅診療所についても勉強しておかなければと思いました。
そんなとき、まず知りたいのは、まっとうな在宅診療所を探すにはどうすればいいのか? でしょう。その方法も山中光茂さんの「なんちゃって在宅診療に気をつけろ」に記されていますので、ぜひご一読ください。
(編集部・波多野文平)
source : 文藝春秋 電子版オリジナル