映画作りの魂を山田監督に教わった
「何より嬉しかったのは私が60年ちょっと映画に携わってきたことを、遠くの国の皆さんがずっと若い時から見ていてくださったこと。これからも精進してまいります」
今年4月、イタリアの小都市・ウディネでこうスピーチをしました。この街で開かれたファーイースト映画祭で、生涯功労賞に選ばれたためです。
驚きました。日本人ではなく、ヨーロッパの方が評価してくださったのです。過去に大林宣彦監督や北野武監督も受賞されていますが、日本人女優としては初めて。絶対に行かなきゃいけないと思いました。
ウクライナ戦争の影響でロシア上空を飛べないため、乗り継いで20時間はかかりましたが、行って良かった。街中が映画祭を盛り上げる雰囲気に満ちていました。最初はご夫婦だけで始められて、今年で25周年。映画祭では私の出演作品を3つ上映して頂きました。
昨年公開され、米アカデミー賞国際長編映画賞部門にも出品された主演作『PLAN75』、1970年の山田洋次監督の『家族』、そして69年に公開された『男はつらいよ』の第1作目です。
ウディネでは『男はつらいよ』の海外での根強い人気を改めて感じました。以前から北米、欧州で折に触れて特別上映され、昨年、パリで全50作品を上映する試みも行われています。あの面白さは、海外でも通じるものなんですネ。
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source : 文藝春秋 2023年10月号