処理水と「報道被害」への自意識

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手練れの業界ウォッチャーが、新聞報道にもの申す!

★処理水と「報道被害」への自意識

 熱烈なコア読者でもない限り、朝日の8月22日朝刊の一面には怖気づいたに違いない。トップ記事はまさに有事を伝えるような弩級の扱いである。

 横見出しで「処理水放出24日にも」と掲げ、「一定の理解と首相ら判断」「全漁連会長らと面会 きょう正式決定」と続けたうえで、「漁業者は懸念『反対変わらぬ』」と見出しを打ち終える。

 二面の造りも朝日の王道だ。「政府関係者『反対続ければ復興も遅れる』」と「福島漁連『最後の一滴まで反対』」を対比させることで「放出 納得なき『理解』」との主見出しを際立たせる。ことさらに政権と地元の利害や意識のずれを言い立て、政権批判へとつなげるお馴染みの手法である。

 少なくともそこには、自らの報道が結果的に地元が最も恐れる「風評被害」の拡大を加速させるのではないか、といった自省の念は微塵も感じられない。他紙と比べても、朝日の突出ぶりは明らかだ。

 政権批判でいつも朝日と足並みが揃う毎日でさえ、一面トップは「アルツハイマー薬了承」に譲り、見出しは「処理水放出 24日にも」と同じでも、記事は事実の記述に専念している。

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source : 文藝春秋 2023年10月号

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