日本の経済の中心地、東京・丸の内。敏腕経済記者たちが“マル秘”財界情報を覆面で執筆する。
★孫正義氏の変節
IT大手のヤフー(川邊健太郎社長)が、子会社でオフィス用品大手アスクルの創業者である岩田彰一郎社長の再任に反対したことが波紋を呼んでいる。ヤフーはアスクルの業績低迷がその理由とするが、アスクルは個人向けインターネット通販事業「LOHACO」の譲渡申し入れを拒否したのが原因としている。
本当の理由は定かではないが、注目されるのはアスクルに経営体制刷新を求めるヤフー自身も、経営がぐらついている点だ。
5月8日、ヤフーとソフトバンクグループの通信子会社であるソフトバンクが共同記者会見を開き、ヤフーを子会社化すると発表。宮内謙社長兼CEOが「これまでヤフーとは兄弟会社として協業してきたが、兄弟と親子では違う」と発言した。
「兄弟会社」とは出資はするが、支配権は握らないという意味。これに対して「親子会社」とは支配権を握ることを指す。宮内社長は「ヤフーを伸ばした利益が直接ソフトバンクに上がって来るようにした方が、シナジーを発揮できる」と言うが、要するにヤフーはソフトバンクの手の内に収まることになった。
そのヤフーが親として子のアスクルの経営に首を突っ込む。「ヤフーはソフトバンクにやられそうなことをアスクルにやっている」(ヤフー関係者)というわけだ。
ソフトバンクの親会社であるソフトバンクグループ総帥の孫正義社長はグループ経営について、支配権を振りかざさない「兄弟会社」に重きを置いてきた。しかしここにきて、親子関係が強調される出来事が相次ぐのはなぜか。
「『ITやネット業界はトップ企業だけが生き残る世界だ』が最近の孫さんの持論。ヤフーとアスクルの争いは、『兄弟会社』などと生ぬるいことを言ってはいられないという孫さんの最近の考えが具現化したものだろう」(同)
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source : 文藝春秋 2019年9月号