昨年10月の徴用工判決を始め、韓国の振る舞いは日本人の目には国際常識を無視した暴挙に映ることもある。その本質は「歴史」という視座を持つことによってみえてくる。
戦時中の朝鮮半島出身労働者(いわゆる徴用工)の遺族らが日本企業に賠償を求めた訴訟をめぐって、日本企業が韓国内に所有する資産が次々と差し押さえられています。
発端は2018年10月、韓国大法院(最高裁)が新日鐵住金(現・日本製鉄)に対し、原告4人へ1人あたり1億ウォン(約1000万円)を支払うよう命じる判決を出したことです。同様に提訴された日本企業は三菱重工など70社を越え、すでに原告側は、差し押さえた資産の現金化へ向けた手続きを開始しており、もはや現金化は時間の問題です。
こうした韓国の振る舞いは、日本人の目には国際常識を無視した暴挙に映ります。いわゆる慰安婦問題や昨年の日本海レーダー照射問題なども含め、多くの日本人は「なぜ韓国は国家間の約束を破るのか?」「なぜ韓国とは話が通じないのか?」と驚き呆れているのが実情でしょう。
じつは韓国の振る舞いの本質は、「歴史」という視座を持つことによって見えてくるのです。
宮家邦彦氏
本論に入る前に、まずは徴用工問題の経緯を、ごく簡単におさらいしておきましょう。
現在の日韓関係は1965年の「日韓基本条約」および関連協定の「日韓請求権協定」の上に成り立っています。
日韓請求権協定は、両国および国民の財産、権利、請求権に関する問題は「完全かつ最終的に解決」されたとし、「いかなる主張」もできないと定めたものです。この協定により、日本側は官民合わせて8億ドル(無償援助3億ドル、有償援助2億ドル、民間借款3億ドル)もの経済協力金を韓国に支払い、韓国側はこれ以上の請求をしない、ということで落着したのです。条約および協定は両国で批准されて発効し、国際約束となりました。
有料会員になると、この記事の続きをお読みいただけます。
記事もオンライン番組もすべて見放題
初月300円で今すぐ新規登録!
初回登録は初月300円
月額プラン
1ヶ月更新
1,200円/月
初回登録は初月300円
※2カ月目以降は通常価格で自動更新となります。
年額プラン
10,800円一括払い・1年更新
900円/月
1年分一括のお支払いとなります。
※トートバッグ付き
有料会員になると…
日本を代表する各界の著名人がホンネを語る
創刊100年の雑誌「文藝春秋」の全記事、全オンライン番組が見放題!
- 最新記事が発売前に読める
- 毎月10本配信のオンライン番組が視聴可能
- 編集長による記事解説ニュースレターを配信
- 過去10年6,000本以上の記事アーカイブが読み放題
- 電子版オリジナル記事が読める
source : 文藝春秋 2019年9月号