特別エッセイ AI、ブッダになる

円城 塔 作家

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エンタメ 読書

サイバースペースでも救いが求められている。

そこに「悟った」と言い出す機械が現れたら……

 宇宙の果てやら時間の流れやら、あるいは神の存在とかがとにかく気になる性質である。こうした話題は興味を持つ人と持たない人の間で、話が噛みあわなかったりする。

 人はモノである、という感覚が幼児期からある。ひょっとすると受精卵くらいの段階からあったのかもわからない。だから、通夜や葬式で人が泣くということがわからなかった。

 人が死ぬと、お坊さんがやってきて有り難いお経を唱えてくれる。これもまた意味がわからなかったし、周囲にきいても、誰もお経の内容や、説かれるところを知らないのである。いっせいに泣きはじめては泣き終わる。

 亡くなった人はなんとなく、「天国に行った」ということにされており、こども心に「天国へは行かんだろ」と考えた。天国で今と同じように暮らすのでは死に甲斐がないし、嫌な奴もそこにいるなら天国ではなかろうし、人間関係が一回リセットされたりしても面倒だ。

Ⓒ原倫子

 信仰というものがある、ということは自然に感じた。証拠を求めることでもないと判断した。飲酒や肉食、結婚が禁じられたりするというのも、そういうものであろうと思えた。でも、現代の僧侶の多くがそうしているわけでもない、といったあたりに混乱した。

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source : 文藝春秋 2024年10月号

genre : エンタメ 読書