シルクロードが生んだパンや串焼き! サマルカンドの市場で美味しい地元食に出合う

阪口 克 フリーカメラマン

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ライフ 国際 グルメ

“シルクロードの宝石”と呼ばれるウズベキスタンの古都サマルカンド。古来、東西を結ぶ要所として栄えた街が、いまは世界中からの旅行者たちでにぎわっている。名所旧跡はもちろん、ほかでは味わえない食も魅力のひとつだ。現地の美味を写真家・阪口克がルポする。

※グラビアの記事「ウズベキスタン」もあわせてご覧ください

 

 鮮やかな青いタイルが陽光にきらめく街、サマルカンド。中央アジアを代表するこの古都には、かつてシルクロードの中継地として栄えた時代の文化が、今も静かに息づいている。その豊かさをもっとも身近に感じられる場所――それが、「ショブ・バザール(市場)」だ。

 朝、ホテルの窓を開けると、焼きたてのパンと炭火の匂いがかすかに漂ってくる。嗅覚が刺激されると、不思議と旅の一日が動き出す。お腹の音がグウと鳴って、ようやく目が覚めた。香りに導かれるようにショブ・バザールへと歩き出した。

 このバザール、ただの市場ではない。地元の人々にとっては、サマルカンドの台所であり、旅人にとっては、悠久の時間を旅するような場所でもある。その歴史は、実に2000年以上前にさかのぼる。サマルカンドが「アフラシアブ」と呼ばれていた古代都市の時代から、人と物が集い、ここは交易の要衝としてにぎわってきた。シルクロードを旅するキャラバンたちは、必ずこの市場に立ち寄った。街路には新鮮な食材が並び、異国から運ばれた貴重な絹やスパイス、乾物などが取り引きされたという。

 中世には、モスクやマドラサ(神学校)、キャラバンサライ(隊商宿)と並んで都市の中核をなす存在として整備された。14〜15世紀のティムール朝時代には、サマルカンドが王朝の首都として隆盛を極め、バザールもまた大いなる繁栄を迎えた。

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