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2019/05/22

genre : ニュース, , 社会

「通り」の本当の数は東京都さえ分からない

 ところでこの「通り」は都内でどれだけあるのだろうか。東京都は「東京都通称道路名一覧表」を公開して都内交通の利便性を図っている。この表によれば「通り名」がついた道路は離島部も含めるとなんと171本にも及んでいる。ところが「通り」はこれですべてかと言えば、地域内での俗称もあり、東京都に問い合わせても本当の数は「わからない」のだそうだ。

 このように東京都内には非常にたくさんの道路が複雑怪奇に巡らされており、その全容は東京人にとっても理解しがたいものになっている。そもそも東京のルーツである江戸は江戸城を中心に栄えてきた。その江戸城は今、皇居としてやはり東京の中心を成すに至っている。そして皇居を囲むように東京の道路網は形成されてきたために、道路は名古屋や大阪などとは違って「まっすぐ」に碁盤の目状に整備ができなかった。その結果として道路は歪んで曲がりくねり、東京の中心である皇居から放射状、環状に発達してきたというわけだ。

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 それにしても、京都には御所があるが、道路は碁盤の目。世界を見渡しても宮城があるからといって、宮城を中心に据えて環状に張り巡らせている都市はほとんどない。明治以降、天皇は江戸城を皇居としてきた。その皇居を取り囲むように交通網を張り巡らせていったのが東京という都市なのだ。道路は曲がりくねり、鉄道や地下鉄も皇居の下を通過することはなく、大きく迂回していく。効率性だけが重視されがちな現代にあっても、この東京の定理だけは不変なのである。

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