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どうやら「健康警察」の次のターゲットは「アルコールは少量でも身体に悪い」らしい

酒飲みにとって、アゲンストの風が吹き始めている

2019/12/26
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 長生きはしたいですよね。

 そのためには、健康に留意することが大事だ。食べるものをコントロールし、定期的に運動をして、実際の年齢よりも肉体年齢を若々しくしましょう。あっ、はい。

「死ぬまで生きる」だけでなく「丁寧に生きる」

 私も結婚するまではガリガリに痩せて、食べない割に大酒飲みのヘビースモーカーでしたから、うすうす「あ、これは長生きできないな」と思っていたんですよ。飲み始めれば心行くまで飲みたい、タバコも迷惑だと言われない限りどこででも吸いたい。当然、食欲も出ませんので、一日チョコとチーズとビールで過ごすというフーリガンみたいな生活を続けていたんです。自宅でよく使うビールグラスたちはちょっとしたお気に入りで、大事に大事にもう20年ぐらい愛用しています。

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 で、重いインフルエンザを機にタバコを一気にやめ、思いがけず結婚し、気が付いてみれば家内が出してくれるおいしい三食の飯とかわいい子どもたちに恵まれて、ようやく「あっ、これは長生きしないといけないな」と気づくわけであります。与えられた命を思うまま「死ぬまで生きる」だけでなく、なるだけ「丁寧に生きる」という、クソ女性誌の特集タイトルみたいな人生が幕を開けるのです。

酒を控えろ、一滴も飲むな

 結果として、若い頃は経験したこともない激太りと育児・介護のストレスに見舞われて、宅飲みの機会増加と共にさらに酒量は増え、これはいかんと酒を大幅に減らして現在に至ります。が、やはり飲みたいものは飲みたい。ほぼ毎日飲んでいたころに比べて飲む量こそ減らしたものの、太った身体に染み渡らせるように楽しく飲もうと思うようになります。

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 そこへ立ちはだかるのは、アルコールに関する最新の学説であります。曰く「アルコールはたとえ少量でも身体に悪い」。どの研究を見ても、論文の中身が指し示す内容はただ一つであり、健康のためなら酒をやめろという一択の提示であります。突き付けられるんですよ、酒を控えろと。それも、一滴も飲むなって。