「お父さんのことは、どのように呼んでいますか?」
このように一家で将棋ファンに親しまれているゆえ、質問なども、家族がらみのことが多いそうだ。たびたび聞かれたのが「お父さんのことは、どのように呼んでいますか?」という質問。最初は「お父さんです」と答えたものの、師匠から「パパでしょ」と指摘されたという。
そんな話が広まっているのに、また同じような質問をされ「パパです」と答える彼女は「言わされるんです。私だけが恥ずかしい思いをする質問」とちょっと顔を赤らめる。
同じニコニコ生放送では塚田泰明九段が、娘の恵梨花さんがもし棋士と結婚するならば「私と同等の成績が必要」と冗談めかして話したことが話題になったことがある。その言葉通りに受け取れば、タイトル獲得とA級在籍7期以上が必要なのだから、これは相当にハードルが高いことになるだろう。この話は冗談だとしても、やはりお父さんは心配性なようだ。
塚田 父は、母を通じて間接的に聞いているみたいです(笑)。母親ルートで「心配しているみたいだよ」とは聞いていますが、絶対私には言ってきませんね。
――お父さんと、お母さんは、棋士と女流棋士で結婚されたわけですが、その馴れ初めなどはお聞きですか?
塚田 そうですね……。
パソコンの授業で親の名前を調べると……
――ネット上で「南の島事件」というのが紹介されていまして……。ご存知ですか?
「南の島事件」とは、塚田泰明九段と高群佐知子女流四段の婚前のエピソードで、ウィキペディアの塚田泰明九段のページに、以下のように説明されている。
〈高群との結婚の前、二人で極秘に沖縄旅行に行ったが台風で久米島から帰れなくなり、テレビ収録の仕事を二人ともキャンセルした。交際が公になっていなかったため二人は連盟に別々に連絡し、高群が電話で沖縄にいる旨を伝えた一方、塚田は沖縄と言うとバレてしまうので「いま南の島にいます」と電話したが、結局交際が発覚した。このエピソードは「南の島事件」と呼ばれ、棋界の人間を招いた結婚式でも披露された〉
塚田 小学生のとき、学校のパソコンの授業で親の名前を調べたときに出てきました。
――わはは(笑)。あれは実際にあった話なんですか?
塚田 対局者と記録係という関係で仕事が入っているときに、沖縄旅行から台風で帰れなくなったようですね。それ以上の面白い話ではないようですけど(笑)。
この「南の島事件」についても、視聴者から質問されることがあるという。こういったことがファンの間で知られていることからも「塚田家」に対する関心度の高さがうかがい知れる。
現在、塚田家の3人は「塚田家扇子」を販売している。現行品となる第2弾は、一枚の扇子に父親が「攻」、母親が「幸」、そして娘である塚田女流が「光」と揮毫したもので、この扇子を眺めているだけでも、それぞれの個性と、一家の暖かさのようなものが感じられる。「攻」と「幸」に挟まれた「光」が、これからどのように輝いていくのかとても楽しみだ。
写真=平松市聖/文藝春秋
その他の写真はこちらよりぜひご覧ください。