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私が愛した、生産性などないのPCゲーム『THE ATLAS』

 さらには『THE ATLAS』。舞台は大航海時代。ポルトガル王から勅命を受け、プレイヤーは船をしたて冒険者を雇って大海原へと派遣する。

 最初は誰もが知るヨーロッパ・イベリア半島なのだが、毎回自動生成される不思議な世界地図は、冒険者から「こんな場所がありました」という報告を受けるたびに信じる・信じないの選択をし、どんどん未知の領域が象のいる地域になったり、タバコの産地だったり、原住民の町があったりする。そこに貿易船を送り込み、交易をしながらカネを貯めては冒険に船を出し世界の秘密を解き明かしていくのである。そして、たまに見つかるムー大陸。いい加減にしろ。

 最初から最後まで、わき目も振らずにすべてのゲームの行為そのものが作業。作業の連続。作業作業作業。これもう貿易管理という仕事のゲームだよね。作業以外の要素ゼロという壮大な割り切りと大航海時代という激しくそそられるロマンの間で、クソゲーとも何とも言えぬ微妙過ぎるゲーム感覚がそこに広がっているのである。

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 私は素晴らしいゲームだと思うのだが一般的にこんなゲームがウケるわけねえだろ。

写真はイメージ ©︎iStock.com

 なんだ、この怖ろしいほど大量の作業を伴う、それていて中毒性も特になく、貿易管理も面倒くさく、カネが溜まり次第次々と船を仕立てて冒険者を雇って海に送り出すだけのゲームは。

 だがそれがいい。いいのである。これが私の愛したPCゲームなのだ。生産性など始めからないし、ゲームが紡ぎ出す架空の世界に没入してナンボのゲーム群。『栄冠は君に』はクソダルく、遅く、自動でやるとみんなバントしてしまう高校野球の世界で見事に駄目高校の監督とはどういう仕事かという没入を示した。

『トキオ~』『関ケ原』『地球防衛軍』『天下統一II』

『トキオ ~東京都第24区~』ではクズしか住んでいない宇宙にある東京都の24個めの特別区の駄目区長という立場から「転んでも泣かない」などの条例を次々と定めて没入を強いる。

『関ケ原』では、ヤバい狸の徳川家康と茶坊主の石田三成が織り成す天下分け目の戦いで諸国大名に空手形を切ったり脅したりうまいことやって西軍か東軍の陣営に引き込んで多数派を作り、最終決戦である関ケ原でどれだけ有利な大名や兵力を揃えられたかでほとんどすべてが決まるという陣営ヘッドに没入を求める。

 私は素晴らしいゲームだと思うのだが一般的にこんなゲームがウケるわけねえだろ。

『地球防衛軍』にいたっては簡単なプログラムをプレイヤー自らが組んで、それを搭載した戦闘艇で迫りくる外敵を撃ち落とし撃退するという地味ゲーである。これはもう、アートディンクにプレイ時間を捧げた人しか納得してプレイしないよね。これでいいならシステムソフト『天下統一II』でいいじゃん。死ぬまで遊べるぞ。

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