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漁の後は“漁師めし”でサイコーの朝ごはん! 『鹿渡島定置』乗船体験レポ

漁の後は“漁師めし”でサイコーの朝ごはん! 『鹿渡島定置』乗船体験レポ

能登半島・七尾市崎山地区でリアルな定置網体験

2020/12/11
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 風光明媚な土地へ出向き、旅館で供されるご当地の食材を使った料理に舌鼓を打つ……。旅の基本にして完成形とも言えるスタイルである。旅行者としてこれ以上は望むまい、という声もあるだろう。

 だが、近年では各地方で町おこしが活性化する中、そうしたパッケージに収まりきらない観光とグルメのカタチが生まれつつある。今回はその好例として石川県七尾市崎山地区における「定置網漁業」を活用した新しいフードツーリズムを紹介したい。

 

「定置網体験」という観光

 能登半島を栓抜きに例えた際、ちょうどツメの部分にあたるのが今回の旅の舞台、七尾市崎山地区である。

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 崎山地区では名物・崎山いちごの栽培に代表される各種農業が営まれており山と田畑の恵みも豊か。しかしその一方、当然ながら眼前に広がる日本海の恵みを授かる漁業も盛んである。

七尾市内の市場に並べられたアカムツ

 特にこの地域を代表する漁法として古くから有名なのが大小様々の「定置網」である。

 定置網とは魚網を用いた漁の一種であるが、巻き網や底引き網のように網で魚を積極的に追い回して捕らえるものではない。

 ただ魚がよく通りそうな場所を選んで海原へ巨大な檻のような網を設置する。あとは基本的にはほったらかし。魚が内部へ迷い込むのを待つのである。

 さしずめ、水中の落とし穴といったところか。

今回見学する鹿渡島定置の模型(※実際の網は全長数百メートルにもおよぶ)。この写真でいう右下側の入り口から魚が迷い込み、左側の小部屋状の部位(箱網)へと徐々に溜まっていく

 設置が終われば網元(網の所有者)、網子(網元が雇う従業員)の漁師らが定期的に船で乗りつけ、網内に溜まった魚を水揚げしていくのだ。

 ……うーん。自分で書いておいてなんだが、文章ではいまいち情景が感じ取れないかもしれない。

 ならば実際に定置網漁を操業する漁船へ乗り込み、その一部始終を見学してみようではないか!

 なんと、ここ崎山では定置網漁の乗船体験と獲れた魚を使った食事を楽しむことが可能なのだ。

コースが選べる漁乗船体験

 数年前から主に観光客へ向けてこのサービスを提供しているのは、崎山きっての大網元である株式会社鹿渡島定置だ。

鹿渡島定置では乗船体験のほかに水産物の直売なども積極的に行っている。地域の方々はもちろん、観光客にも嬉しい取り組みだ

 鹿渡島定置では数年前から定置網漁見学を主催しており、今ひそかな人気を博している。

 地域の伝統たる定置網を通じて、漁師の文化を、日本海の自然と生物を、そして何よりそれらがもたらす豊かな食文化を実体験を通じて学ぶことができる。そうした特性が老若男女に支持されているようだ。

チラシ

 なお、乗船体験は参加する行程によってコースが分かれている。乗船体験のみという選択も可能だし、逆に早起きが苦手な方には朝食だけ……というプランもあるのだ。