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「放任主義でした」
──私ども弁護人も見ていると、社会ルールや法を守らなければならないという思いが強いように思うのですが、幼少期もそうでしたか?
「そうだと思います。彼も通っていた私の高校は校則が厳しく、あれいかん、これいかんと。ある時家族で喫茶店に入って食事をしましょうとなったが、自分は車の中に居座って、あれとこれ買ってきてくれと。そんなん、両親が一緒だからええやんか、と言っても、校則を守るといって……。少しくらいはと、それくらいの融通はあって欲しいと思うが……。バカ正直です」
──躾は?
「他人にだけは迷惑をかけないようにと」
──厳しかった?
「厳しいことはないと思います。むしろ放任主義でした」
──なぜ?
「この子は放っておいても大丈夫だろうと……。見方は甘かったのかも知れませんが、この子は大丈夫だろうと……。社会ルールに反することもありませんでした」
──放任主義はどのように培ったのですか?
「彼の場合は、躾なんか、妻に任しているので、チェックポイントがあって、これとこれはいかんよ、と。その程度です」
──怒ったことは?
「それほど、怒った記憶は、そんなにないです。何度かはありますが」
──腹を割って話したことはありますか?
「それはありませんが、ツウと言えばカア、私と逆というか、私は体育会系、彼は理工系でものを考える。私は考えない。その差はあると思うが、だからといってコミュニケーションをとってないとは思いません」
──子どもの頃の遊び場はお寺で、死への恐怖があったと言っていますが。
「全然知らなかった」