オリンピック選手・関係者の優先接種に反発見られず
韓国ではオリンピック代表選手や関係者への優先接種も4月から始まっている。こうした優遇措置に対して日本のように反発するような声は聞かれず、5月初めにオリンピック代表となる野球選手らのワクチン接種後、プロ野球が休止して初めてオリンピック選手が先に接種したことを知ったという人も多い。
40代の会社員(女性)はこんなことを言っていた。
「オリンピック選手ですから、体調管理もあるだろうし問題ないと思います。個人的にはワクチンはやっぱり怖いので、もう少し後に打ちたい。それに、感染者は増えてはいても、今までのような防疫対策でなんとか持ちこたえられる水準ですし、アストラゼネカよりはファイザーやモデルナのほうがまだ安全に感じるので、秋以降でもいいかなって思っています。11月に集団免疫なんていうのは政府が言っているだけで、無理でしょう」
世論調査でも、「11月には集団免疫が達成できない」41.6%が「できる」39%を上回っている(5月26日、世論調査会社「リアルメーター」)。
韓国政府はワクチン接種を忌避する人たちの接種率を上げるため、1次接種が終わった人や接種が完了した人には野外でのノーマスクを可能とすることなどを盛り込んだ接種インセンティブを26日発表した。しかし、接種した人をどう見分けるのか、そしてノーマスクは時期尚早だと批判する声が上がっている。
韓国では昨年12月25日に1日の感染者数が国内で1240人に達するなど第3波が流行し、その後感染者数はいったん減少したが再びなだらかに増えていた。最近では1日の感染者数が国内で500人〜700人台前後を行ったり来たりしている。
今現在、5段階の警戒レベル(1、1.5,2,2.5,3)のうち真ん中の2段階が続いており、飲食店は夜10時までの営業で5人以上の集まりは禁止されている。しかし、夜10時以降にホテルや公園などで5人以上で集ったりするケースなども増えている。
日本のように、接種の担い手不足や予約システムの不備はない
当初、感染経路などが公になったことでプライバシーが侵害されたという批判が上がり、最近では感染経路などは事細かく明らかにはされない。その代わり、カフェなどでの飲食店では、入り口に設けられた機械に自身のQRコードを読み取らせるようになっていたり、名簿に携帯番号を書くようになっている。力の入った対策が功を奏してか、飲食店には前よりも人が戻りつつある。
5月下旬に入り、ようやく新たなワクチンの供給が始まったため、当面は接種スケジュールに問題はないといわれている。日本と異なり、韓国では接種の担い手不足の声もなく、ワクチン接種の予約システムの不備もない。ワクチンの供給量、ワクチンへの不安感によってその進捗が左右されている状況だ。
そんな中、28日、ドイツの研究陣がアストラゼネカ製ワクチン接種後、稀に生じる副反応のひとつ、血栓発生の原因とその解決方法を探し当てたというニュースが流れた。まだ仮説にすぎないといわれるが、このニュースが韓国での接種にどう影響してくるか。
最初こそ1日900人ほどにのぼる感染者数に驚いたりしていたが、その時も今も変わらないのは現況について毎日午前と午後の2回、政府によるブリフィーングがあること。ワクチン接種を含めて情報が開示されていることが日々の暮らしの安心感につながっているように思う。