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安価で確実にシーレーンを攻撃

 それでは今回の事件の意味するところは何か。

 第1に、シーレーン攻撃に安価で確実な手段が増えたということだ。今回の攻撃はイランの関与が疑われているが、どのような自爆ドローンで実施されたかは不明だ。しかし基本的に自爆ドローンはミサイルよりも安価だ。例えばイスラエル製無人攻撃機「ハーピー」は、アメリカの空対地ミサイル「ヘルファイアミサイル」の7割のコストで製造できる。

 しかも民生部品で構成されているために足が付きにくいことから、サイバー攻撃と同様に政治的にも安価だ。

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 手段としても今回の件で確実性を増したといってよい。とうとう海上目標の特定箇所に命中させる段階まで進んだ可能性が高いからだ。

 民間船舶の艦橋に向かって自爆ドローンが次々と飛来する事態になれば、運航に支障をきたしてしまう。今回、船長とともに警備員が亡くなったように、この海域では海賊に対抗するための武装した傭兵を乗船させることが一般的になっているが、対ドローンレーダーに加えて対空火器をタンカーに載せることは法的にもコスト的にも難しいだろう。

 しかも軍艦で護衛しようにも、その数は限られており、あまりに海域は広く、船舶は多い。よしんば護衛できていたとしても、たかが8機のドローンでも迎撃は困難であると米海軍大学院の研究で証明されている。

 安価で確実にシーレーンを妨害できるようになり、今後の大きな課題になることは間違いない。早急な対策が必要だ。

ドローン対処はイージス艦でも難しい

 第2は、軍事的にも大きな問題になる可能性がある。

 実はイージス艦であってもドローン対処は難しい。例えば、2012年の米海軍大学院における研究「UAVのスウォーム攻撃:駆逐艦の防護システムの選択肢(UAV swarm attack: protection system alternatives for Destroyers)」を見てみよう。

 この研究は、イージス艦に対し、ドローンを突入させた場合の迎撃可能数を研究したもので、軍事専門誌の「Defense Tech」などが米海軍大学院における複数の研究の代表例と評するものだ。米海軍の主力であるアーレイバーク級イージス艦に、イスラエルのハーピー型自爆ドローン4機と手作りドローン4機が沿岸部から同時攻撃した場合のシミュレーションを500回実施して、その防空手段を検討している。

米海軍大学院の研究より