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空き住戸30%超えでマンションは急速にスラム化する

 一般的には同じ建物の中で、空き住戸である割合が30%を超えると、マンションは急速にスラム化すると言われている。スラムといえば外国の話のように考えている日本人はいまだに多いが、日本の不動産の未来もこのスラム化の問題から逃れることはできない。

 旧耐震で設計、建築された住戸は、いずれも1981年5月末の建築確認取得済み以前の物件を指す。ということは来る2030年には旧耐震設計の約100万戸が存在するマンションが、ほぼすべて築50年を迎えることになる。また2040年には平成バブル時代に建設された多くの分譲マンションが築50年を迎える。

 優れた立地にあって管理体制の行き届いた物件を除いて、多くの分譲マンションで、空き住戸が増え続け、管理体制に支障が生じ、スラム化の道を歩みだすのが分譲マンションの未来だ。

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パリのアパルトマン ©️iStock.com

 マンションという共同住宅では先輩格のヨーロッパ。私の知り合いのある大学教授が言う。フランス、パリのアパルトマンは築200年を超える建物が多いが、オーナーが一棟全体を所有している賃貸アパルトマンは、200年が経過してもその価値を維持し続けている。しかし、分譲されたアパルトマンは、長い年月を経る中で必要な修繕の行き届かないものが多く、お勧めできない物件が多いのだという。

 日本人にとってごくあたりまえの居住空間となったマンションの未来には、現在の日本が置かれた厳しい現実が横たわっているのだ。