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「『つなはり』のことですね。どうぞお上がりください」と自宅へ招き入れてくれたのは中島区文化財保存会の会長を務める篠田芳夫(77)さん。つなはりについての記録をまとめた数冊のファイルや写真とともに解説をしてくれた。
「『つなはり』がいつから始まったのか正確な時期は分かっていませんが、正月行事の一環として、その年の厄除けや病難除けとして300年以上は続いている風習です。
中島の中でも、地区によって藁で作った人形やタコ、海老、たわし、絵馬など吊るすものが違います。昔から漁業が盛んな地域なので海にまつわるものが多いですね」
「藁人形がバスやトラックにぶつかるといけないので」
道路上に張られた糸には人型の藁人形だけでなく家内安全と書かれた絵馬、サイコロ、タコなども吊るされている。人形は「子孫繫栄や住人の身代わりになって災害や災難を引き受ける」、タコは「悪病を口で吸い出し、八本の足は末広がりで縁起がいい」などそれぞれ由来があるという。
「元々は江戸時代に山形の出羽三山から来た行者がこの辺りに伝えたと言われています。昔はもっと低い位置に吊るしていましたが、昭和30年に市町村合併があって都市化が進み、路線バスやトラックが走るようになった。藁人形がバスやトラックにぶつかるといけないということで、今のような高い位置になったんです」(篠田さん)