準大手ゼネコン「西松建設」の所長が、北海道・東北地区のイオンモール建設に際して約9億円もの不正な会計処理を行い、諭旨解雇処分が下されていたことが「週刊文春」の取材でわかった。

 創業149年目を迎える西松建設はダム・トンネルなど大型公共土木工事を得意とする老舗ゼネコンで、従業員数は約3000人。東証プライムにも上場しており、2022年3月期の売上高は3200億円を超える。

西松建設本社が入る虎ノ門ヒルズ ©共同通信社

巨額の損失を隠すため、会計を操作

 不正を行っていたのは、同社の札幌、東北の両支店を管轄する北日本支社に在籍し、宮城県利府町の「イオンモール新利府」の新築工事を指揮していた50代前半のA所長だ。

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 同社幹部が語る。

「A所長は支社内のイオンモールの大型事案をいくつも手掛けており、社内でも期待のエースでした。ですが、担当する工事で巨額の損失が発生していた実態を会社に隠すため、会計を操作していたのです」

 端緒となったのは、2014年から担当していた「イオンモール旭川駅前」の工事。ここで採算が合わなくなり、本来、業者に支払うべき約4億5000万円もの工事代金を、下請けの協力会社9社に肩代わりさせていた。

イオンモール旭川駅前(イオンモールHPより)

「9社はいずれも北海道が拠点の建築業者。A所長は『別の工事で支払うから』と依頼し、業者も次の仕事が欲しいので、この要求を飲みました」(同前)

 A所長はこの9社からの“借金”を穴埋めするため、不正に手を染めていく。