――終わりが見えない仕事に絶望的な気持ちになることってありますよね。
恋渕 そうですね。しかもそれが毎日ですから……。あと、なんというか、仕事内容が合わなかったです! デスクワークがあんまり好きではなくて、人とお話ししたり、接客したり、対面で誰かと接する仕事が性格的に向いているんですよね。
そのぶん、窓口で市民の方とコミュニケーションをとるのは楽しかったですよ。どうやって、この難しい税務の仕組みをわかりやすく説明するか。その工夫? が楽しかったですね。理解してもらえたときに「あ、この説明で良かったんだ!」っていうのは、やりがいの一つでした。とはいえ、部署が部署なので、感謝されることはないんですけどね。
――最近話題になることも多いカスタマーハラスメントのようなこともあったのではないでしょうか。
恋渕 まあ、窓口に来て小一時間怒鳴り続ける方とかはいますね。最初の頃はビクビクしちゃうし、先輩たちに任せていたんですけど、慣れてくると「あー今日もいらっしゃったなー」「今日も元気だなー」「なにか言ってるなー」って感覚になってました。窓口で浴びせられる言葉に、徐々に麻痺してくるんですよ。
「何カップ?」って聞かれることは日常茶飯事です
――母親から切望された公務員という職を辞めようと決意したきっかけは、そうした仕事の大変さが重なってという流れでしょうか。
恋渕 そうですね。仕事が大変だったことは一因としてありますね。
ただ、それ以上に決定的だったのは、セクハラです。業務中だろうとなんだろうとセクハラを受けていたんですよ。
「何カップ?」って聞かれることは日常茶飯事ですし、タクシーのなかで無理やりキスをされそうになったこともありました。
当たり前に妻子があって、何なら同じ役所内で結婚している人たちがセクハラをしてくるんですよ。「こんな人もやるんだ……」とすら思わなくなるくらい、誰でもやってくるイメージですね。