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《写真多数》どうしても飲み込めなかった“ドリアンがゆ”、プルンプルンのオタマジャクシ、強烈にカビ臭い保存食…「秘境で出会ったヤバい飯」

40カ国以上取材したカメラマンの「世界のメシ」#2

2023/04/23
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3、標高4000mのアンデス山中「フリーズドライジャガイモ」

 どうしても喉を通らなかった記憶の中で、一番申し訳ないと悔いている思い出の場所は、ペルーのアンデス山中。この険しい山を縦横に駆け巡るアルパカ農家がいると聞き取材へ向かった。

ペルー標高4000mの大地でも、印象的な料理が…

 夏にも関わらずアンデスは寒かった。まだうっすらと雪が残る山道を、村人たちはサンダル履きで駆け巡るが、貧弱な都会人の私ではついていけない。なにせこの村の標高は4000mを越える高さなのだ。

ジャガイモ畑が広がる村の標高は4000m。夏でも雪が多く残る背後の山々は5000mを超える。この地を村人たちはサンダル履きで往来する

 居候生活が5日を過ぎた頃、あまりの寒さと酸素の薄さで体調を崩した私はベッドから起き上がれずにいた。村に来た当初は、プチプチのキヌアや本場のジャガイモ煮込みを美味しく食べていたのだが、さすがに食欲も全くない。

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 そんな弱った私のために居候先の母ちゃんは、とっておきの天竺鼠の丸焼きを出してくれた。現地でクイと呼ばれるこのネズミは、まるまるして可愛らしい姿をしているが、立派な食用の家畜でどこの家でも何匹か飼育している。

現地でクイと呼ばれる食用の天竺鼠

 これをたっぷりの塩で味付けし、じっくり焚き火で炙って食べるのが、アンデスの伝統的なご馳走メニューの一つなのだ。

かまどの火でじっくりと焼かれるクイ。味付けは塩辛くて炭水化物の食がすすむ

 香ばしく焼かれた肉は非常に塩辛く、それを一齧りするだけでジャガイモが何個も食べられるという、実に日本の塩鮭に近い食べ物といえるだろう。