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・睡眠障害
 睡眠に何らかの問題があって日常生活に影響が出ている状態です。この症状から思わぬ事故につながったり、生活習慣病やうつ病を引き起こしたりするリスクが生じます。

・精神疾患
 脳の働きに変化があって、感情や行動などに顕著な偏りが見られる状態です。統合失調症、難治性のうつ病、双極性障害(躁うつ病)などがあります。

・神経変性疾患
 認知機能障害など、様々な疾患の主症状の原因となる脳機能障害のことです。アルツハイマー型認知症やパーキンソン病などがあります。

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・発達障害
 生まれつき見られる脳の働きの違いにより、幼児の頃から行動面や情緒面に特徴が見られる状態です。自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症(ADHD)などがあります。

 このうちでも精神疾患の統合失調症や双極性障害では、そのような症状が一度出てしまうと相当に長期間にわたっての治療が必要となります。

睡眠と精神疾患の関係性

 精神疾患には古くから使われている治療薬が複数ありますが、その投薬による治療の効果はわかりづらく、医師にも患者にも満足のいく治療となっていない状況が続いています。発展が求められている領域で数多くの研究がなされているにもかかわらず、状況は大きな変化を見せていません。

 精神疾患では睡眠の異常がほぼ必ず見られ、それぞれに特徴があると言われています。この疾患の場合、睡眠が直接の原因ではないにしても、睡眠と覚醒の状態を確実に観察していくことに問題を打開するきっかけがあるかもしれません。

 その時、睡眠のデータは病の状態をのぞくための優れた潜望鏡、あるいは虫眼鏡の役割を果たすでしょう。また、データが集積していくことによって、結果的には重要な事実が判明していくかもしれません。

 神経変性疾患にカテゴライズされるアルツハイマー型認知症やパーキンソン病でも、近年は鍵となる発見が報告されてきているのですが、臨床ではやはり古くからある薬が主流であって、創薬の動きはあるもののまだまだ発展の余地が大きくありそうです。

 このように、脳が関わる分野の創薬については、医学の道にいる者として私も歯がゆい思いを長らく抱いてきました。脳内で何が起きているのかがわかりさえすれば、もっと研究も創薬も進んでいくはずなのです。

 例えば、私たちの開発した透明化技術「CUBIC」は応用されて、統合失調症やアルツハイマー病の仕組みの探究や治療薬の開発のためにも使われ始めています。これにより、例えば、ヒトの統合失調症を模したモデル動物とそうではない動物の脳を透明にして、統合失調症発症時にどの細胞が活動しているのかを観察できるようになってきました。またアルツハイマー病も同様に、アルツハイマー病を模したモデル動物とそうではない動物の脳を透明にして、どの細胞からどのように病気が進行していくかを観察できるようになってきました。

 これはまだ具体的な成果には結び付いていませんが、観察を積み重ねていけば統合失調症モデルの動物の状態を推量できるようになり、こうした症状を改善する薬を与えた場合にどこに効いてどこに効いていないかがわかっていくでしょう。改善されない症状を治療するためにはどのような薬が必要なのか、それもわかってくるだろうと考えられます。

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