円谷英二(つぶらやえいじ)(1901―1970)の作品の底流には現代文明社会への鋭い批判がある。それは、戦後、父権なき時代に育った若い世代の監督、脚本家たちを、日本的な父親の優しさで包み、その才能を縦横に、自由に開花させたことで生まれたものだった。脚本家の市川森一(いちかわしんいち)氏が円谷の思い出を綴る。
「親父(おやじ)さん」
だれもが、円谷英二氏のことをそう呼んでいた。
「オヤジさん」
このひと言には、当時の円谷作品に関わっていた現場スタッフやプロデューサー、多くの監督、脚本家、俳優たちの、円谷氏に寄せる敬愛の思いのすべてがこめられている。

映画「ハワイ・マレー沖海戦」や「ゴジラ」の特技監督として、その名を世界にまで知られていた円谷英二氏が、東宝から独立して、「円谷特技プロダクション」を設立させたのは、昭和38年4月のことである。
オヤジさんとそのブレーンは、その第一弾から、躍進期のテレビ界に待望の新風を吹きこんだ。のちのちまで伝説の名作として語り継がれていくことになる、SFシリーズ「ウルトラQ」がそれである。
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source : 文藝春秋 1995年8月号

