不寛容な空気の中で

今月買った本

本上 まなみ 俳優・エッセイスト
ニュース 社会 読書

『仲野教授のそろそろ大阪の話をしよう』はヒョウ柄に金の箔押し(題名めちゃ読みにくい)、書店でもダントツの濃ゆーい目立ち方をしていました。そう、近鉄の「いてまえ打線」って感じ。「やっちまえ」みたいな意味ですけどね、いいね。カバーを取ると本体はゼブラ柄だし、中身は濃い人ばっかり出てくるぎゅっと詰まった336ページ。大阪文化への愛溢れる、どこから読んでも惜しみなく笑わせてくれる対談集です。

 対談相手の1人、3歳からおばちゃんだったという「全日本おばちゃん党」の谷口真由美さん(私と同い年)はオバハンとおばちゃんの違いを明快に示し、おばちゃんになるのはある種の女性解放だと仰います。仲野教授曰く、大阪のおばちゃん的人間はグローバル化に適している、と。確かにおばちゃんが元気な街は、行政主導の何かよりずっと血の通ったコミュニティが生まれるのは容易に想像ができる。外交とかも絶対得意なはずです。他にもソースについて語る人、関西の私鉄に熱い人など、偏愛の人が次から次から。

 私は大阪で育った割にオチがない話をしてしまう〈あかんヤツ〉だったのですが、この本では「おもろいヤツ」「けったいなヤツ」以外はただの大阪市民、ということが書かれており、自分がほんまのただの人ということが再認識されましたね。とほほ。だけど〈あかんヤツ〉でもこうしてのびのび過ごしていましたし、やっぱり大阪ってあったかい街なんだと思いました。

 大阪文化にたっぷり浸ったあとはブレイディみかこさんの一冊、『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』を。

有料会員になると、この記事の続きをお読みいただけます。

記事もオンライン番組もすべて見放題
初月300円で今すぐ新規登録!

初回登録は初月300円

月額プラン

1ヶ月更新

1,200円/月

初回登録は初月300円
※2カ月目以降は通常価格で自動更新となります。

年額プラン

10,800円一括払い・1年更新

900円/月

1年分一括のお支払いとなります。
※トートバッグ付き

電子版+雑誌プラン

12,000円一括払い・1年更新

1,000円/月

※1年分一括のお支払いとなります
※トートバッグ付き
雑誌プランについて詳しく見る

有料会員になると…

日本を代表する各界の著名人がホンネを語る
創刊100年の雑誌「文藝春秋」の全記事、全オンライン番組が見放題!

  • 最新記事が発売前に読める
  • 毎月10本配信のオンライン番組が視聴可能
  • 編集長による記事解説ニュースレターを配信
  • 過去10年6,000本以上の記事アーカイブが読み放題
  • 電子版オリジナル記事が読める
有料会員についてもっと詳しく見る

source : 文藝春秋 2019年12月号

genre : ニュース 社会 読書